しろくまBL部

腐女子のBL覚書

『ロッカバイディア』(作者:暮田マキネ)

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「俺にできることは全部叶えてやりたいから」
大病院の次男坊で、奔放に日々を過ごす八尋(やひろ)。
そんな八尋にとって大切なのは、幼馴染の累(るい)だけ。
養子という立場に引け目を感じている累に、自分にだけは甘えていいと
教え込んできた。そうして幼い日を過ごした二人はやがて、
身体を重ね始める。曖昧なバランスで保たれていた関係だけれど、
義母の妊娠を機に突然、累が「終わり」を口にして!?

 

泣きました。久しぶりにティッシュ片手に読みました(T^T)

中村明日美子先生の『同級生』シリーズや、

常倉三矢先生の『Life 線上の僕ら』など、

泣きの殿堂入り作品に、また一つ仲間入りした今作『ロッカバイディア』。

 

実母に虐待されて、養子としてもらわれてきた累。

新しいお父さんお母さんに嫌われないように捨てられないように、

常にイイ子でいることを心掛けていました。

そんな累の傍にいつも寄り添ってくれる八尋。

幼い頃から累を気にかけ、

”累が望むことなら何でもしてやる”

”累が欲しいものなら全部あげる”

八尋にとって累は大事にしたいと思う特別な存在でした。

そして、いつしか2人は身体を重ねる関係へと変わっていきます。

累も背徳感を感じながらも、

八尋に甘え抱きしめられながら、心の安寧を得ていました。

 

そんな中、累のお母さんの妊娠が判明。

お父さんお母さんの血の繋がった赤ちゃんが生まれる。

”ついに僕は捨てられる……” と怯える累は、

今以上にイイ子にならなければという強迫観念に囚われ、

少しずつ心を壊しはじめます。

 

八尋とのただならぬ関係がバレてしまえばイイ子でいられない。

だから、累は八尋に ”この関係を終わりにする” と告げましたが、

その日から夜毎、

夢遊病者のように無意識の状態で八尋に抱かれにやってくる累。

唯一の心の拠りどころであった八尋に別れを告げたことで

正気を失っていました。

それに薄々気づいていた八尋ですが、

気持ちを止めることができず、甘んじて累を受け入れていました。

そしてついに、心も体も限界をむかえた累は倒れてしまいます。

”たすけて……” と声にならない声で八尋に救いを求めながら。

 

累の心の闇を知る八尋によって、

ようやく累の本心を知ることができたお母さん。

”ごめんなさい…ごめんなさい…” と謝る累をぎゅっと抱きしめます(T^T)

 

もちろん主軸は八尋と累のボーイズラブなんですが、

それ以上に家族愛に泣きました。

幼い頃に親に大事にされたことや愛情を向けられたことがない累は、

新しいお父さんお母さんに靴をプレゼントしてもらっただけで、

あじがどごじゃいまふ…(ありがとうございます)” って、

ポロポロ涙を流しながら喜ぶんです。

それを見て、お父さんお母さんはぎゅ~っと累を抱きしめる。

親から注がれる当たり前の愛情を、

ひとつひとつ大事に思う累の健気さに泣きました(T^T)

 

また、八尋もかっこいいんだ!

累を存分に甘えさせるその懐がデカいです。

いつだって傍にいるし、何かあった時にはいつだって助けてあげる。

累がもらわれてきたその日から、

きっと八尋の心は決まってた。累とずっと一緒にいるって(^^)