しろくまBL部

腐女子のBL覚書

『放蕩息子と恋の穴』(作者:九號)

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女癖が悪すぎて、超ド田舎の高校に強制転校!!
伯母の家に居候することになった蒼佑(そうすけ)。けれど、そこには
初恋のイトコ・みのりちゃんがいる♪と内心わくわくでロックオン!!
ところが11年ぶりに再会したのは「穣(みのり)」と名乗るイケメン男子。
しかも転校先の教師だったー!!
「俺の青春はここで終わった」と思っていた矢先、
蒼佑は後ろをイジる穣のひとりHを目撃して…!?

 

とてつもなく良かった。

作者さんの名前もちゃんと読めんかったのに、

こんな良作を読ませてもらって幸せ!

九號(きゅうごう)先生ですね。しっかり脳に刻みました!

 

絵といいストーリーといいキャラといい、全部のピースがきれいにはまって、

最高のハーモニーが生み出されていました。

ちょっとガチムチ体型で、

ふんわり食パンのように優しい弾力の綺麗な兄貴・みのりも良いですし、

奔放でちょっとアホだけど裏表のない素直な子・蒼佑も良い男振り。

みのりの幼馴染・哲朗も、みのりのことを思って泣いてくれる良いダチ。

さらには、みのりと蒼佑のご両親も温かくて良い人たち。

まさに ”BLの宝石箱や~” みたいな作品です(^^)

 

後半に進むにつれて、みのりの心の葛藤に涙しました。

”みのりが好き!” と真っ直ぐに気持ちをぶつけてくる蒼佑に、

どうしても向き合うことができない、みのり。

大学時代の友人たちにゲイだとバレて心に深い傷を負ったみのりは、

それ以降、誰にも知られないように気を張って生きてきました。

もし、両親や幼馴染の哲朗にバレて否定されたらと思うと怖い…。

人との繋がりなんて、言葉ひとつで簡単に壊れてしまうんだから。

だけど、そんなみのりの固い殻を、

持ち前の奔放さと「好き!」という一直線の気持ちで溶かした蒼佑。

きっとみのりには、蒼佑のような猪突猛進の押しが必要だったんですね。

ぐっと手を引いて、

深い沼から救い上げてくれる強引な手が必要だったんです。

 

エロもちょうどいい塩梅です。

ムチ感あり色気あり、且つ濃くも薄くもなく。

よくストーリーに溶け込んだエロでした。

おまけの番外編、

『放蕩息子と秋の夜長と友情と』が、これまたものすごくよろしかった。

付きあって3ヶ月のみのりと蒼佑の蜜月エロとともに、

みのりの幼馴染・哲朗に、自分がゲイだと打ち明けるエピソード。

いいヤツなんです、哲朗が。

ずっと隣にいたのに、気づいてやれんですまんかった…と。

今までどれだけ無神経なことを言っておまえを傷つけたことか…と、

おいおい泣きながら謝るんです(T^T)

こんな親友がいてみのりは幸せです。

だけど、みのりと蒼佑が付きあっていることを知って、

合コン5連敗中の哲朗は ”リア充にうちの敷居はまたがせん!” と、

ちょっとキレてたのがおもしろかった(笑)

 

あともう一つ。

みのりが話す方言が、

物語の情緒をさらに深める良いスパイスになっていました。

岡山かな?広島かな?中国地方の方言だと思うのですが、

「~じゃけぇ」とか「~しんさい」とか。

そこに、東京からやって来た蒼佑の標準語がマッチして、

これまた良いハーモニーが生まれていました(^^)

清々しい気持ちになれる非常に良いBLでした!