人生の光と闇を紡ぐ、はらだ史上、最も優しい物語。
趣味なし、友人なし、恋人なし。生きる価値、なし。
惰性で毎日を送っていたコンビニ店員の幸紀(こうき)は、
うっかりチンピラに刺され瀕死になった折、遠のく意識のなかで、
真っ白い羽の美しい「天使」を見たーーー。
お迎えかと思いきや、その後すっかり完治して帰宅してみると、
そこにはあの時の天使が…。天使のふてぶてしい態度に戸惑いつつ、
記憶もなく、飛べないというのを不憫に思い、天使をしばらく家に置くことに。
突然はじまった奇妙な同棲生活だったが、天使との日々は、
死んだように生きていた幸紀の心にある感情を芽吹かせてーー。
泣きの殿堂入り作品にまた一つ追加されました。
本当に素晴らしい、とても素晴らしい作品でした。
大袈裟ですけど、
生きてることに感謝したくなるような作品でした。
それゆえに、わたしにはそう何度も簡単に
読み返すことができない代物となっております。
”趣味なし 友人なし 恋人なし 生きる価値なし 人生クソ”
そう思う主人公・幸紀のメンタルを、
自分と重ねてしまって心が痛くなるんです…。
100%重ねてしまうわけでなく、
頑張っても報われなかったなぁ~とか、
何やってもうまくいかんなぁ~とか、
泣いても怒っても、寝て起きても、
誰に、何に、生まれ変わるでもない昨日と同じ自分だなぁ~とか。
読んでるとそんなことをふと思ってしまって、
そこを優しくツンツンと刺激されるんです、幸紀に(^^;
それと同時に、また幸紀の言葉で救われるんです。
ナイアガラの滝のような水量で洗い流され、
そのしぶきで虹がかかるように心が晴れやかになる。
”こんな俺でも誰かに何かを与えることができた”
”こんな俺にもできたことがあるんだから
たぶん思ってるほど人生は悪くない” って。
たぶん人生ってそんなもんでいいんだなと思える(^^)
別に大きな事が起こんなくていい。
嫌なことがあっても、それをちょっと上書きしてくれるような
些細な良い事があったらそれでいいじゃん♪みたいな。
なんかそういうのを積み重ねて、
「天使」の、
”どうでした?人生楽しかったって思えました?” って問いかけに、
”まぁまぁかな♪” って答えられるように生きたいなと。
今回は全っっっ然、
感想BLになっておりませんね…申し訳ない<(_ _)>
しかし、BL本1冊でこんなに生き方を考えること、
まぁ~ありませんですよ。(わたしが考え過ぎなんですけども^^;)
こんな風に考えさせてくれたこの1冊に出会えてほんと良かったです。
はらだ先生ありがとうです、ほんとに。