しろくまBL部

腐女子のBL覚書

『花に嵐』(作者:佐藤アキヒト)

     

学生運動渦巻く、激動の時代。
そんな昭和の折に、一人葛藤する男・神谷(かみや)は、
周りの喧騒とは別の問題を心に秘めていた。
それは、学友である北條(ほうじょう)に道ならぬ恋心を抱いているということ。
そんなある日、北條のことを思い浮かべながら自慰に耽っているところを
本人に目撃されてしまい…。

 

「戸渡り(とわたり)」って言葉ご存知でしょうか?

「戸渡り」とは会陰部のことで、肛門と玉玉の間にあって、

男性のGスポットである前立腺を外側から刺激できる場所だそうです。

この作品の時代背景は、

学生運動が盛んな1960年~1970年代。

令和からさかのぼって昭和30年~40年ぐらいの時代。

その時代に奥ゆかしく使われていた言葉なのかもしれませんね。

 

この物語の中では、

今のBLでは使われなくなった言葉たちがまだちゃんと生きていて、

秘め事のように淫靡だけれど、どこか純なエロスを漂わせます。

例えば「イク」ってのを「達する」って言ってたり、

「セッ〇スしよう」を「奥へ行こう」って言葉で誘ってたり。

で、その奥の襖を開けたら、

恥ずかし気に一組の布団が敷いてある。(キャッ♪)

ズリ下ろされたズボンから露わになった下半身を見て、

”恥ずかしい…” って顔を覆うの。

だから壁に手を付いて後ろから弄ってもらうんだけど、

その様が耽美なエロスなんだわ~♪(*´ω`*)

 

戦後からしばらくのこの時代、

「日本男子たるもの」という風潮はまだまだ強かったはず。

強くあらねばならぬ男子が同性を好きになるなんて。

とてもオープンにできるような時代ではなかったと思われ。

そんな時代に一途に想いを貫いた神谷と北條の純愛物語。

花が咲く綺麗な表紙と同じく、

静かにゆっくり花開く2人の愛がそれはそれは美しい。

 

今で言うルームシェアをする神谷と北條。

神谷は密かに北條のことが好きで、ある時、

北條を思いながら自慰をしているところを北條本人に見られてしまいます。

何か言い訳を…と思っていたら、

北條から ”神谷が好きだ” と想いを告げられます。

お互いに触れ合いたいという気持ちを抱いていたことがわかり、

気持ちの昂ぶるままに、

北條から「戸渡り」攻めを受けて、達した神谷なのです。

 

それから幸せに行くのかと思っていたら、

学生運動に参加していた北條が警察に捕まり、なんと2年間の服役刑に。

2人は一度も結ばれることなく離れ離れになってしまうのです。

2年の月日は2人の気持ちを変えてしまうのか……。

 

満開の花が咲く木々の下、北條の出所を一人待つ神谷。

頭を短く刈り込み、少し逞しくなった北條が現れ、

しっかりと抱き合う2人。2年の月日を経てもなお、

変わらずしっかりとお互いを求め合っていた2人。

その後、予めスタンバイしていた奥の部屋の一組の布団で、

ようやく一緒になれた神谷と北條なのです。

 

そのシーンでエロいな~と思ったのが、

初めてであるはずの神谷のお尻が柔らかいことに気づいた北條に、

”お前を忘れないように週に一度、思い出していたんだ…” 

”これ以上言わせるな…” と顔を赤らめて言う神谷の言葉に、

尻イジってたんだぁ~とニヤつくわたし(^^;

この神谷の言葉に興奮した北條が挿れてまもなく、

”すまん……先に達した…ふがいない……” って言うの。

そんな北條をぎゅっと抱きしめながら神谷が、

”お前の顔を見て達したい” って言うのさ。

「達した…達したい…達した…達したい…」

この言葉が頭の中で共鳴してニヤつくわたし。グフフ(^ω^)

なんかすごいエロスを感じました。