組員の小田島(おだじま)はヘマをしたヤクザの若頭・片岡(かたおか)と
騒動のほとぼりが冷めるまで、行方をくらますことに。
だが、この旅には片岡を殺すという使命が隠されていて…。
まるで1本のロードムービーのような作品で、
今までにないヤクザ系BLでした。
ヤクザ2人が旅をしながら、
そこで出会う人たちとちょっとした交流を持ったりして、
本編となんの繋がりもないように見えて、
どこか薄っすらと紐づけられてたりする。
1回読んだだけでは話の上辺だけしかわからなくて、
2回3回と読むことで物語を深く理解できるようになる。
豆から挽いたコーヒーのようにじっくり味わって読む物語でした。
また、キャラの対比もすごく良かったです。
それぞれに抱える背景があるんですけど、
突き抜けるほどにあっけらけんと陽気な片岡と、
奈落の底から見上げる陰気な小田島が、
2人一組で行動を共にしているのがなんともアンバランスなようでいて、
実は最高なバランスを保ったベストカップルだったというね。
この物語後の2人の行く末を、
ぜひとも熱望したいほどに好きなカップルです。
組の若頭・片岡は、ヘマをしてほとぼりが冷めるまで
しばらく組を離れることに。
そのボディガードととして側につくことになった組員の小田島。
しかし小田島にはある指令が下っていました。
「片岡を殺せ」という命令が。
それを知ってか知らずか隙を見せまくる片岡。
いつでも殺せる距離にいる片岡に、なぜか手を出せない小田島。
静かに付き従う小田島に先に手を出したのは片岡でした。
小田島がゲイだと知る片岡は、
朝勃ちしたといっては小田島を攻め、
旅の途中で出会った人妻にフラれたといっては小田島を抱きました。
何をされても抵抗せず、表情一つ変えない小田島に惹かれる片岡と、
飄々としながらも芯のある強さを持つ片岡に惹かれる小田島。
やがて、
しびれを切らしたヤクザ組織から狙われることになった2人の
行き着く先は太陽の下か海の底か…。
前半はほのぼのしたロードムービーで、
後半になるにつれてシリアスになり、
ハラハラが増すストーリーとなっております。
とにかく物語の入り込み度がハンパないです。
2人の放浪の旅の世界観に浸りまくりです。
コミックというより良い映画観たなという感想、これに尽きます。
怖くない・痛くないヤクザ系BLをお求めの際はこちらご一読を。