「椎名(しいな)なら俺の隣で寝てるぜ」
音楽雑誌の編集者である新(あらた)の元に、3ヶ月ぶりに椎名が帰って来た。
天才ギタリストだが、日本の音楽業界からは半ば引退同然の身。しかし本人は
一向に気にせず、自由奔放に国内外を行き来し、長い付き合いの恋人である
新のこともほったらかしだ。その気まぐれさに呆れながらも、戻って来ては
自分にべったりと甘えて可愛くエッチを強請る椎名が愛おしい新だが…。
わかってました、読む前から。
だけどしかしやっぱり言わせていただきたい。
最高だーーーーー!!!!
なんだこの胸キュンは!!!
なんだこの愛しさと切なさと可愛さは!!!
ウノハナ先生、ありがとう最高です♪
このシリーズ、けっこう前に購入していたんですが、
もったいぶって手をつけていませんでした。
上質なワインを寝かせるように、大事に大事にしまっていました。
意を決して、大事に大事に読みましたところ、この有り様です。
”最高” しか言葉が出てこなくなっております(^^;
まずですね、
一番最初に申し上げたいのがやはりエロなんですが…(^^;
ウノハナ先生のエロって「切なさ」でできてると思うんです。
抱き合っている幸福感とともに、
押し寄せる気持ち良さに悶えるように眉が八の字になって、
目がギュッと結ばれる。もっと…もっと…とねだるその姿に、
切なさを感じずにはいられないのです。
そして、ストーリー。
これはどんな本でも言えることですが、
ただの真っ平な棒線一本ではなくて、
ウネウネと蛇行する河のようにキャラの心情が変化していく。
読んでるこちらもキャラたちと一緒になって、
不安になったり悲しくなったり喜んだりする。
こうやって物語の中にがっつり入り込める作品ってそんなにない。
あぁ~早く次が読みたい!って、そう思えるような作品なんです。
『気まぐれなジャガー1』はまだ序盤の序盤で、
新と椎名の過去~現在に至る関係や、
バンド仲間たちとの関係などが描かれています。
印象に残ったシーンは、
まだ高校生の新と中学生の椎名がギターに触れるところ。
新が弾くギターの音を初めて耳にした椎名は衝撃を受けるんです。
”こんなスゴイ音、見たことない!” って。
新が少し教えただけで、
椎名はあれよあれよとギターに魅せられ、
あっという間に、新以上のテクニックを身につけるまでに上達。
新が、何時間も何日も何カ月も練習して習得した技術を、
椎名はほんの短時間で弾きこなしてしまう。
これが「天才」というものか…と、椎名を見つめる新。
ロックなんかこれっぽちも興味なかった少年が、
近所の平凡な兄ちゃんからギターを教わる。
”それがギターとの出会いです” なんて、
「伝説」と呼ばれるようなギタリストにありがちなエピソード。
そんな夢物語は、
新にとってはいつだって遠い世界のおとぎ話だったのに、
今、目の前に「伝説」となり得る男がいる。
椎名のギターは鮮烈で荒々しいセンスに溢れていて、
「興奮」「感動」「賞賛」をほしいままにしている。
魅力的だと思うと同時に、
それは新の小さなプライドを深く傷つけていて…。
どうあがいても自分には出せない音を奏でる椎名に芽生える
後ろ暗くドス黒い「負」の感情…。
それに蓋をしたくて新は椎名と距離を置くんです。
椎名と会えば、惨めで醜い自分が顔を出してしまうから。
新の人間臭さが出ているシーンで、
読んでて苦しいんだけどとても印象的なところでした。
そして、数カ月ぶりに顔を合わせる2人。
久し振りに聴いた椎名のギターはやっぱり魅力的で、
どんなに嫉妬に叩きのめされても、
離れていた時間を後悔するくらい、
自分だけが知る彼の音に興奮して身震いする新。
そしてその興奮は気付かないフリをしていた2人の気持ちに
スイッチを入れてしまって…。
このくだりがかなり良きです!
切ねぇ~し胸キュンだし、めちゃくちゃグッときました。
2巻はそんな2人の続きがクローズアップされていて、
新と椎名の過去編が展開されます。
1巻ではまだキスとチ〇コの擦り合い止まりでしたので、
こりゃもう~楽しみで仕方ないです♪