しろくまBL部

腐女子のBL覚書

『ROUGE(ルージュ)』(作者:桂小町)

    

転校生の長門(ながと)は腕っぷしが強くて曲がったことが大嫌い。
学校で会った美人な藍(あい)を女だと思い込んだ長門は、藍に殴られ気絶
させられてしまう。それ以来、藍のことが気になる長門だったが、藍は
お前には興味ないと言い放つ。学校を仕切る派閥のトップの男しか見て
いない藍には忌まわしい噂があってーー?

 

ヤンキー系BLなんですが、すごいオシャレ感が漂う作品でした。

表紙の『ROUGE』というタイトルロゴからして、

ヤンキーに似つかわしくないスタイリッシュ感があります。

しかも、赤い口紅で書かれてる。オサレだ…(^^)

 

ピンクの長髪がキレイな藍(受)と金髪の長門(攻)。

彼らがこの物語の主人公ですが、脇を彩るモブたちも

一人一人個性があってしっかりと描かれています。

その中の「大和」と「由紀夫」の2人が

赤と黒』というスピンオフ作品で、

これまたオシャレ感たっぷりに表紙を飾っています。

それはまた別の機会に。

 

今作『ROUGE』は、

女の子と見紛うぐらい美人の藍と、そんな藍に一目惚れした長門

彼ら2人の想いが通じ合うまでの物語。

 

最初読んだ時、映画『クローズ』みたいだ…と思いました。

色んな派閥のリーダーがいて取り巻きがいて、

下級生からの下剋上もバンバン来て、

”てっぺん取るぞオラァーーー!!!” みたいな。

そんな男臭いヤンキー共らの中に、

紅一点(いや、男だけど…^^;)の藍みたいな可愛い子がいたら、

そりゃ変な気も起きますわ。

 

藍は、その頃 ”てっぺん” を取っていた谷田(やた)先輩に

女にされていたという過去がありました。

すでに自分自身を捨てていた藍は、

抵抗することなく、自らに起きるすべてを受け入れていました。

そんな藍を救ってくれたのが、現在の ”てっぺん” である大和(やまと)。

藍は大和に忠誠を誓います。あなたのためなら何でもする!と。

 

そこへ、他校から転入してきた長門がやってきます。

彼もまた腕っぷしが強く、本人は望んでいないけれど、

次の ”てっぺん” を取るのはコイツだと噂されます。

なので大和を気にするか…と思いきや、

長門の視線が向かう先は、

いつも大和に付き従い ”俺の王様は大和さんだけ…”と言う藍の方に。

大和にだけ心を許す藍に、どうしようもなく惹かれる長門

ヤツから無理矢理奪いたいんじゃないけれど、

だけど藍が欲しくて欲しくてたまらない!

それは藍の過去を知って、

ただ藍の身体を手に入れたいからなのか…?

それとも藍を本気で好きになったのか…?

その答えは、藍の持つ一本の赤い口紅が導きます。

 

描き下ろしで、藍と長門が結ばれるシーンが描かれています。

非常によろしかったです(^^)

なんせ藍ちゃんが色っぽくて、もっそ可愛い。

頬を赤らめて涙を浮かべながら長門に ”好き…” と告げる所なんかは、

もうゾクゾクして溶けそうになりました。

長門が藍の乳首を舐めるシーンで、

ああ、藍はようやく長門の物になったんだなと思いました。

乳首がちゃんと語っていましたよ(^^)

 

桂小町先生の作品を読んで、

「色」ってそんなにたくさん要らないなって思いました。

この作品は白と黒のコントラストがハッキリしていて、

中途半端な色使いがないんです。

そのコントラストがすごく良い感じに効いてて、

物語がキリッと引き締まり、

ストーリーがさらに色濃くなっているように感じられました。

作中、長門が藍の赤い口紅を奪って壁に「X(バツ)」を書くんですが、

カラーじゃないから黒いバッテンなんだけど、

ぐちゃっと潰れた濃い赤色に見えるんです、ちゃんと。(素敵なシーンでした)

 

2人の物語には続編がございまして、

恋人同士になった藍と長門のその後が描かれており、

藍ちゃんの健気振りが拝める内容となっております。

 

今作には同時収録で短編が1つ入っています。

『愛は出番を待っている』~『愛の出番がやってくる』

浮気を繰り返す煩悩だらけのお坊さんと品行方正なゲイのお話。

ノンケのお坊さんがヤリチンの生臭坊主で、

ゲイが30年ローンで家を買う真っ当な社会人ってのが

おもしろい2人でした(^^)