しろくまBL部

腐女子のBL覚書

『きっと、幸せな結末』(作者:麻生ミツ晃)

   

親に殺されるはずだった自分は、生まれた時に一生分の幸運を使い果たしたのだ
ろくでもない男ばかりに引っかかるバーテンダーのすみれは、幸せを諦めて生き
ている。親とも疎遠で、寂しさにも慣れているはずだった。けれど遠い親戚の
大学生・佑真(ゆうしん)と再会し懐いてくる彼と過ごすうち、佑真との時間に
安らぎを覚えていく。一方、佑真はすみれへの想いを強くしていき…。

 

「薄幸」で「生き方にやや難あり」な人物を描かせたら、

麻生ミツ晃先生の右に出る者はいないと思います。

先生が描く、不器用で不安定な生き方しかできない主人公が

幸せになろうと一生懸命もがく姿が心の琴線に触れて自然と涙が溢れます。

すみれさんの言う言葉が胸に刺さって痛かったです。

”人の幸福の量は決まっている”

 

お母さんが中絶できなくて、この世に生を受けてしまったすみれさん。

”死にかけて生き残った自分はもう一生分の幸運を使い果たしたから、

この先良い事なんてないし、良い事を期待したりもしない。

だからとても気持ちが楽なんだ”

このすみれさんの言葉が痛くて悲しくなりました(TT)

 

期待したものが得られないと心は傷ついて痛くて苦しくなる。

だからもう期待するのは止めようって思うけど、

やっぱり自然とまた幸せを求めて期待しちゃう。

で、叶ったり叶わなかったりしながら人生が成長していくんだけど、

すみれさんはそれを自分で放棄した。

ここに生があるだけで十分だと。

だから変な男にストーカーされてもDVされても浮気されても

全然いいですと。そこに幸せの期待を求めていませんから。

 

そんなすみれさんを唯一救える青年・佑真が現れても

いつもの調子を崩さないすみれさんに、

人生の先輩であるバーのママが諭すんです。

”誰かを大切に想う気持ちは自分自身に返ってくる” 

”自分を低く見積もるのはやめて幸せを望みなさい” って。

”あなたが思うよりずっと、すみれは幸せが似合う人間なのよ” と(T^T)

その言葉を受けて、

ようやく ”欲しいものを欲しい” って言えるようになったすみれさん。

佑真の傍に居たいと告げることができました。

 

すみれさんの負の言葉に共感して涙すると同時に、

ママさんの救済の言葉にも感動して涙しました。

このママさん韓流ドラマが好きでよく見てるんですけど、

何で好きかっていうと、全部ハッピーエンドの夢物語だからだそうです。

”だってリアルな世の中のほとんどは片想いでできてる”

”仕事でも恋愛でも韓流ドラマのように望んだようには報われないし叶わない”

”愛したものに同じように愛されるなんて奇跡だわ” と。

だからドラマを見る度に ”掴もう!” って思うんだって。

もしもその時が私に訪れたら!って。

最後のチャンスかもしれないんだから。

 

このママさんの言葉に心が奮い立つといいますか、

無性に勇気が湧きまして。

単純なんですけど思い立ったが吉日で、

面倒くさ~って思ってたこともちょっとやってみよ!って思ったりして。

映画でも何でも、心に刺さる言葉を聞いたらすぐ感化されちゃう(^^)

 

最後のおまけページで、すみれさんと佑真が、

”好きすぎてセッ〇スを求め過ぎて、

相手が負担に思ってないかどうか心配だ…” と、

各々がママに相談するシーンがあるんです。

呆れたママが2人に「YES・NO枕」をプレゼントするんだけど、

麻生先生が ”みんなわかるかしら?” ってコメントしてた(笑)

確か「新婚さんいらっしゃい!」で出てきてたやつですね。

当時はその意味を知らないまま笑って見てましたが、

今日Hできる?の確認枕なんですよね。

言葉にしなくていいし、なんか可愛いわ「YES♪」 って出てたら(^^)