しろくまBL部

腐女子のBL覚書

『赤と黒1・2』(作者:桂小町)

    

美洞(びどう)の血を引く三代目は俺だ。俺がこの組、背負ってやるよ。
美洞大和(びどうやまと)に出会った日も雨が降っていた。
若頭息子の矢萩由紀夫(やはぎゆきお)は、組長息子の大和から組長の命が
長くないことを聞く。「親父さんのじゃねぇ、俺は大和の盃が欲しい」
高校生ながらも覚悟を背負った大和に惚れこんだ由紀夫は、大和とままごと
みたいな盃を交わした。極道の家に生まれた者同士、一生ものの出会いだと
確信しながら…。藍と長門が紡ぐ愛の物語も収録。

 

藍と長門の物語『Rouge』のスピンオフ作品。

美洞大和と矢萩由紀夫、

極道の家に生まれた生粋のヤクザもんである2人が主人公。

『Rouge』でも言いましたが、やはりオサレです(^^)

色使いがシンプルでとても綺麗です。ヤクザノワールの色ですね。

 

ストーリーもキレキレです。

極道の家に生まれた男ですから、

高校生であろうとも跡継ぎの重圧と責任をしっかり負っています。

なので、甘っちょろいDKの顔なんてこれっぽっちも出てきません。

出てくるのは酒とタバコとすんごい色気。

 

否が応でも、極道世界の派閥争いに巻き込まれてしまう大和。

親父の跡目を継ぎ、

美洞組を率いるのはオレだ!と覚悟を決めている大和ですが、

色々なしがらみに飲み込まれ自分を見失いそうにもなります。

だってまだ高校生の若造なんだもん…。

汚い大人の決め事の渦に簡単に落ちてしまいそうになります。

そんな時、大和が傍に居てほしいと切に想う相手は…由紀夫。

由紀夫は美洞組の組長を補佐する若頭の息子。

とくれば、次期組長となる大和を補佐するのは由紀夫の役目。

もうすでに、

大和の世話係という名のお目付け役を任されている由紀夫は、

家とか親とか関係なく ”俺はお前の盃が欲しい” と告げます。

極道の家に生まれ、極道の道で生きたいと覚悟を決めた2人の、

2人だけの絆を求めて盃を交わした夜。

 

2人が交わした盃は酒だけでなく、身体の絆も求め合いました。

最初、なかなか煮え切らない由紀夫にムカつく大和でしたが、

”俺はお前より大事なものがない” という由紀夫の言葉にうれし涙。

”ずっとお前にそう言って欲しかった” と、

ようやく本音で自分と向き合ってくれた由紀夫に涙しながら言いました。

本当にコイツは俺の傍に居てくれるのか?とか、

親に言われたから俺に付き従ってるだけかも?とか、

頭をよぎっていた色んな不安が由紀夫のその言葉で払拭されて、

もう何も迷いなく、覚悟を決めて極道の道を歩むことができる。

一生お互いの傍にいることを決めた2人の心の強さが見えたラストに、

なんだかざわっと鳥肌が立った読了でした。

 

さらに鳥肌が立ったのが、

『Rouge』後の藍と長門が描かれていること!

正直言うと、本編の2人よりも藍と長門のラブラブ振りが

甘くて可愛くてウキウキしながら読んでしまった♪

やっぱ藍と長門に勝てるもんはねぇだろうと思ってしまいました(^^;

相変わらず藍ちゃんが可愛くてエロくてね~。

フェラさせろと長門に迫るんですよ。

長門を喜ばせてやりたいからと。

そしたら長門が言うんです。

”一方的に気持ち良くなるのがセッ〇スじゃないよ” と。

”セッ〇スっていうのは2人で良くしていくもんでしょ” って。

名言ですね。最高でした『Rouge』後日譚。