しろくまBL部

腐女子のBL覚書

『逢縁カタルシス』(作者:大島かもめ)

    

薬種商「伊波屋(いなみや)」の若旦那・竜次(りゅうじ)は、運転手として
やってきた近藤の素直さを気に入り、そばに置くことに。そんなある日、
近藤の日記を盗み見てしまった竜次は、自分に向けられた熱情を知って
しまう。ところが、本人に知られたというのに近藤の全く変わらない
態度に竜次の方が意識して動揺してしまって…?

 

「時代物BL」というジャンルを作ろうかと思うぐらい好きです。

現代じゃない、こういう昭和とか大正とかの時代設定物。

これまで『花に嵐』『まことしやかに舞う花は』2作品の

時代物系BL読みました。

どことなくその時代特有の仄暗さと重苦しさが漂う感じでしたが、

それらと比べると今作の『逢縁カタルシス』は、

とっても明るい♪そしてクスッと笑える。

暗さも重さもまったくナッシングの超さっぱり系時代物BLでした(^^)

 

なぜにさっぱりしているのかというと、

背景が大正12年の大阪、主人公たちが話す言葉は…そう大阪弁

~やさかい、~やよってに、~やおまへん…etc

飛び出す言葉のテンポ良さと返しの妙よ。

空気感、重くなることがありましょうか!(いや無い!)

 

初っ端から笑かしてくれます。

薬問屋の若旦那・伊波さんの元へ、

東京から新しい運転手の近藤がやって来ます。

若旦那が近藤に聞きます。

”どうや?大阪はもう慣れたか?”

 

”ワテの事でご心配お掛けして恐縮でしたやねんけれど、

  ぼちぼち慣れてきましたでおまんがな”

 

近藤、やめろー!全然言えてねぇから(笑)

若旦那も無理すんな…ってちょっと引いてた(^^;

さらには、お店のベテラン奉公さんから、

”この車、奥になおしといてくれ” と頼まれた近藤は、

車庫でドッカンガッシャンと車を解体し出しました。

ベテランさんからはもちろん何しとんねん!と怒られます。

関西弁で言う「なおす」とは「修理する」の意味の他に

「戻す・収納する」という意味合いでも使う言葉で、

東京出身の近藤はそんなこと知りませんので、

言われた通り、奥で車を修理していたんですね~。

車ぐっちゃぐちゃにしたからめちゃめちゃ怒られてました(^^;

 

とまぁ、こういうコミカルなオープニングからの始まりに、

グッと心つかまれましたよ(^^)

ストーリーも大阪弁のようにとてもテンポ良く進みます。

運転手の近藤が密かに若旦那に心惹かれていくんですね。

近藤は溢れるその想いを、

若旦那が買ってくれた帳面、今で言うノートにしたためるんです。

そしてそれを若旦那がこそっと見ちゃう。

こそっと見ちゃう若旦那を見ちゃう近藤なんですよ(笑)

”見られて困るようなことは書いてませんので構いませんよ” と、

ごっつい男前の近藤ですよ(^^)

 

それから2人はお互いを意識し出します。

若旦那の婚約者が奉公人と駆け落ちしたことや、

昔、若旦那が大旦那からそういう関係を迫られていたことなどが

近藤の知るところとなり、増々若旦那を欲する気持ちが加速します。

しかし、肝心なところで二の足を踏む近藤に、

今度は若旦那が男前返しを繰り出します。

”清廉潔白な愛なんていらん。

欲しいんやったら俺を縋りつかしてみぃや” と。(くぅ~男前!)

きれいな愛なんていらんと、

欲しいと思うもんを思いっ切り欲しがれと。たまらんね(^^)

 

車庫の車の中で2人は初めて結ばれます。

なんかめちゃくちゃドキドキしました。

チ〇コも見えてないんでエロ度的にはそんなあれなんですけど、

なんかめっちゃいい感じでした。

その後は、薬問屋を辞めて、

2人で東京に出てきた若旦那と近藤のイチャイチャが少しあるぐらいで、

ほんとに最後までさっぱりすっきりの物語でした(^^)

こういう後腐れない作品、非常に良いですね。

さぁ次行こ!次!って張り切り気分が出ちゃう。