しろくまBL部

腐女子のBL覚書

『宇田川町で待っててよ。』(作者:秀良子)

 宇田川町で待っててよ。  宇田川町で待っててよ。

「どうやらあいつは女の服を着ていると俺に抵抗できない」
純粋かつ扇情的な女装男子との恋、渋谷区宇田川町。
人通りの多い街中で、同級生・八代(やしろ)の女装姿を目撃して
しまった百瀬(ももせ)は、その日から毎日、「あのこ」のことを
考えてしまう。一方、そんな百瀬の様子に戸惑いつつも、熱の
籠った目線をそらせない八代は渡された女子高の制服に袖を通し、
彼の前に立つが…。憶病な女装男子と、一途すぎる男子高校生の
不器用で青いラブストーリー。

 

”とにかく泣ける映画を観て思いきり泣きたい”

そう思う日ありませんか?

何も考えずにただ泣きたいと思う時。

泣く事って、涙と一緒にストレスも流れ出るから、

心が洗われてスッキリするらしいです。良いことです(^^)

 

それと同様に、

”胸が疼いて熱くなるエモいBLが読みたい!”

そう思う日があるんです。

とにかくただひたすら胸キュンしたい時。

そんな時、必ず候補にあがるのが、

本日の『宇田川町で待っててよ。』です。

 

これに限らず秀良子先生の描く作品は、

どうやらわたしの柔いところを激しく揺さぶるようで、

読むともれなく、

どうしようもないほどの胸の疼きに襲われます。

わたしの中では、最高にエモい作家さんとして、

ヨネダコウ先生・秀良子先生、両雄並び立つという感じです(^^)

 

だもんで、

けっこうちょこちょこと引っ張り出して読んでおります。

で、毎回心疼くポイントがありまして、

”八代が自分の気持ちに気づくとこ” です。

 

始まりは、クラスメイトの百瀬が、

女装して街に佇む八代を見かけたことから。

なんで?!と思う百瀬。

A:ホモ B:罰ゲーム C:売春的な何か D:幻(?)

 

一番派手なグループにいて、

まぁまぁ整った容姿で、そこそこ勉強できて、

友達に囲まれて、いつも日なたを歩いている。

そんな八代がなんで?

4択に絞った答えを探るため、

百瀬はもう一度、八代を見かけたあの場所へ向かいました。

 

いた。

化粧をして佇む、女装姿の八代が。

”ヒマならお茶しませんか?”

”って、声かけられたらどーすんの?八代” と話しかける百瀬。

驚く八代の腕を引き寄せ、

”かわいいから俺と付き合って下さい” と告白しました。

 

なんで?!と思う八代。

A:金 B:嫌がらせ C:ホモ D:マジか(?)

いつもボッチで暗くて何考えてるかわからん怖いヤツ。

そんな百瀬が ”俺と付き合って下さい”?

マジで意味がわからん…。

 

百瀬を怖がり避けまくる八代。

それにキレた百瀬が、

”みんなにバラされたくなかったら女装しろ!” と、

自分の姉ちゃんの洋服を持ってきて八代に着させます。

”そこらの女より百億倍かわいい” と言って、

八代にキスをしました。

 

ここから八代の心が揺れ動きまくります。

”お前が好きだ” 

”お前に触りたい。キスしたい。それ以上のことも…”

そう言ってグイグイ迫る百瀬が怖くて…。

百瀬の澱みない「好き」が怖くて…。

 

だけど違ったんです。

百瀬が怖いんじゃくて、

八代が本当に恐れたものの正体は、

「自分が百瀬に落ちること」

百瀬に ”かわいい” と言われたあの日から、

深みに落ちて、戻れなくなる自分が怖かった。

 

百瀬に抱かれキスをされ、

泣いて喘いでみっともなくすがって、

”挿れてくれ” と懇願する日がきっとくる。

そんな自分が怖かった。

 

この八代の気づきのシーンが、

最高に胸疼くポイントでして、いつもジンジンきてます。

八代の中で、

ただ単に女装して満足していた時はすでに過ぎていて、

 

本当はもうずっと前からとらわれていた。

やわい肌、愛されワンピに無敵のパンプス。

男に組み敷かれて喘ぐあっち側に。

 

そんな自分の心に正面から向き合わせてくれたのが、

「好き」という百瀬の無敵の力だったんだろうなと。

 

恐れが取っ払われた八代は、

百瀬とセッ〇スを致すことができたんですが、

その最中、新たな恐れが静かに歩み寄っていました。

それは、百瀬が意外とカッコイイ男だということ。

普段は寡黙で陰キャな百瀬だけど、

背は高いしガタイもそこそこ良いし、

いいモノ着せてそれなりの格好をさせれば、

”コイツ化ける…!” 

そう気づいてしまったんです。

百瀬にさらにハマっていきそうな自分に恐れつつ、

今はただ百瀬に抱かれていよう…と静かに思う八代なのです(^^)

 

ほんとにおもしろくて素晴らしい作品です。

ぜひぜひたくさんの方に読んでいただきたい。

ってか、映画化されておりますので、

もうすでに名作だと周知されておりますね(^^)

 

しかし、わたくし映画版は観ておりませんで…。

原作が良すぎて、

実写観て ”なんかちょっと違う…” ってなるの嫌だなと思って(^^;

観ず嫌いかな~?

時間あったら観てみるかな。

 

 

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