しろくまBL部

腐女子のBL覚書

『皇帝と怪物』(作者:akabeko)

 皇帝と怪物  皇帝と怪物

「俺はこの国の初代皇帝、ウトサだ」
幼帝タオが過ごす宮廷の地下には、開かずの霊廟があり
”怪物が眠る”と噂されていた。生まれてからずっと宰相の傀儡(くぐつ)
として過ごしてきたタオは、国の実権を握ることも叶わず、宰相の
目論みで頼りにしてきた友人すら殺されてしまう。自暴自棄のはてに
霊廟に入り、柩を開けたタオが見たのは白髪・異形の大男で…?

 

先日のご紹介した映画『霜花店』に通ずるような時代物BL。

akabeko先生の時代モノって珍しいなぁと思い読んでみました。

 

お飾りの皇帝タオと、

国の実権を握り、我が物にしようと企む宰相ダキ。

唯一の友であるノワカをダキに殺され、

自暴自棄になったタオは、

城の地下にある霊廟に封印されているという

「異形の怪物」を起こしに向かいます。

ひとたび目覚めれば、殺すことの出来ない不死身のモノとなり、

この国に禍をもたらすという怪物を。

 

棺の蓋を開けたタオの前に現われたのは、

白髪の大男・ウトサ。

遡ること五百年前のこの国の初代皇帝でした。

ウトサはタオを見るなりキスをしました。

なぜならタオが、

ウトサが愛した皇后ニタの生き写しだったから。

 

この国の行く末を語り合うタオとウトサの前に、

ダキの私兵が現れ、2人は地下牢へと閉じ込められます。

その地下牢の中でタオは仲間を見つけます。

この国をダキから取り戻すために、

一緒に戦うことを誓い合った仲間たちとともに、

タオは立ち上がりました。

ウトサはタオを守るため不死身の盾となり、

一騎当千の働きをしました。

 

皆のおかげでこの国を取り戻したタオ。

一見、平和が訪れたかのように見えましたが、

不死身であるウトサを恐れる民が不満の声を上げました。

そしてウトサは、

”得体の知れないものへの恐怖はいずれ人の心に闇を生む”

 

国の翳りとなるモノは去らねばならん…。

愛する国、愛する民、何より愛するタオの幸せのために、

ウトサは月の光も届かない深い深い暗闇にある、

永遠の孤独へと身を落とすのです(T^T)

 

それから十年。

皇帝として立派に国を治めるタオは、

弟のラムシンに皇帝権を譲渡します。

この十年、ウトサを思わぬ日はなかったタオ。

ようやくウトサの元へ行くことができる。

 

馬を走らせ、

深い森にある廃墟に足を踏み入れたタオ。

そこには闇に呑まれ、孤独に蝕まれた異形の怪物がいました。

”お前の闇は明けた!”

そう言ってウトサを抱きしめるタオ。

光りを取り戻したウトサは恋い焦がれたタオを抱き寄せ、

”二人、共にあろう” と告げました。

 

akabeko先生の時代モノ、イイじゃん!と思いました。

ちょっと切なくて悲しくて。

でも最後はちゃんとイチャエロを入れてるあたり、

akabeko先生らしくてめっちゃ良かった(^^)

ただ、いい感じの壮大なストーリーなので、

1冊で終わらせてしまうのは非常に勿体ないなと思いました。

ウトサの生きていた時代や、

タオと激似の皇后ニタのこととか、

細かい所を掘り下げたりなんかしたら、

もっともっと良いボリュームの骨太歴史BLになったんではないか?

…なんてちょっと偉そうに思ったりして(^^;

 

しかし「完結」とは書いてなかったので、

もしかしたら続くのかもしれませんね。

期待しつつ、続編を待ちたい作品でございます。

 

 

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