こじらせ作家&純情大学生ふたたび!
官能小説の「口述代筆」という奇妙な出逢いをへて恋人になった、
嘘つきポルノ作家と大学生。木島(きじま)が田舎へ里帰りしてからも、
文通で遠距離恋愛を続けていた二人だったが就職したての久住(くずみ)
とすれ違い、気まずい空気に…。そんな折、奇しくも再び腕を負傷した
木島はかつてを思い出すように、地元で知り合った青年・静雄にペンを
握らせる。そこへ久住がやってきてしまい…。
『アケミちゃん』のシズオと春子さんが出てきました!
先に『アケミちゃん』を読んでいたので、
びっくりと同時にうれしい驚きでございました(^^)/
『アケミちゃん』もとてもおもしろいので、
ぜひおすすめしたい作品でございます。
前作『ポルノグラファー』で、
遠距離恋愛に突入してしまった木島先生と久住くんです。
彼らの通信手段はスマホでも電話でもなく「手紙」です。
なんと古風な。
今を生きる若者の久住くんにとっては、
手紙とはなんぞ?という話です(^^;
マイペースな木島先生に、
終始ヤキモキする久住くんが描かれています。
今から会いに行きたいけど大丈夫か?なんて手紙送っても、
届くのに1日2日かかりますから…(^^;
なかなか先生の近況をすぐに知ることができません。
いっつもふわふわしてる人だから、
どこぞの誰かと(城戸さんかな?)浮気してんじゃないか?とか、
もう自分のことなんか忘れてしまってるんじゃないか?とか、
諸々の不安のタネが大きく育ちすぎて、
とうとう久住くん、木島先生の里帰り先に電撃訪問しました。
そしたらやっぱり?若い男の子を連れ込んでいました!
でも、乳繰り合っていたわけではなく、
利き腕を負傷して執筆ができなくなったので、
「口述代筆」をお願いしていたということでした。
そして、先生の腕を負傷させたのが、
『アケミちゃん』に出ている春子さんで、
春子さんに代わり、
息子のシズオが代筆を請け負ったということなのです。
久住くんにとっては、
木島先生と出会ったきっかけである「口述代筆」は、
自分と先生だけが共有する大切な大切な思い出だと思ってたのに、
全然知らない人にも簡単にさせちゃうんだ…と、
悲しいやら悔しいやら寂しいやらでがっかりな気分(´_`)
前作でもわかっていたことですが、
木島先生はかなりのひねくれ者ですのでね、
普通の恋人同士のようにってのがなかなか難しい…。
しかも肝心なところで投げ出すという、
逃げグセが常態化しちゃってるもんだから、
続編の今作でも、
久住くんの ”好き” にちゃんと向き合うのが怖くて見ない振りするんです。
輝かしい未来がある好青年の若者が、
こんな中年の、
しかも純文学崩れの官能小説家と一緒にいるメリットある?
と思っちゃうんですね。
そんなグジグジ先生だと、
いい加減久住くんに捨てられちゃうんじゃあ…と心配してたら、
ほんとに捨てられました(^^;
捨てられてはじめて久住くんへの気持ちを再認識した先生は、
ようやくその重い腰を上げて久住くんを追いかけ、
”好きだから、僕とつきあってほしい” と告げました。
”えっ!?僕たちつきあってなかったんですか?” と、
ひきつりながら顔を歪める久住くんですが、
”僕みたいな怠惰で受動的な人間は、
自分から宣言することに意義があるんだ!” とのたまう先生に、
なるほど…と納得するのです(^^;
本当にこじらせ作家の木島先生でした。
ようやくめでたしめでたしになりましたが、
久住くんがちゃんとしたまともな人だったから、
無事に恋人同士に、
さらには同棲までもできたんだろうなと思いました。
しかしちょこちょこと、
ドジっ子・久住くんが顔を出すシーンがあって、
そんな時には大人な木島先生がお世話してあげたりして。
なかなか可愛くて、微笑ましいお2人でした(^^)