しろくまBL部

腐女子のBL覚書

『Life 線上の僕ら』(作者:常倉三矢)

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下校途中の一人遊び「白線ゲーム」で偶然出会った
生真面目な伊東と無邪気な西。
恋に落ち、「白線の上だけの逢瀬」にもどかしさを覚えた伊東は
咄嗟に西へキスしてしまって…。高校生から大学生、そして大人へ。
変わらない想いと、変わりゆく現実の狭間で
愛に翻弄された二人の男の人生を描いた感動の話題作。

 

高校生で白線ゲームか…(笑)

白線の上を歩いて、そこから落ちたらサメに喰われるとか、氷の剣で串刺しとか。

普通は小学生ぐらいで終わってる遊びじゃないのかい?(笑)

でも、これだからDKはかわいいのです!きゅんきゅんするのです!(^^)

 

17歳。白線の上で出会った西と伊東。

学校帰りに白線上で逢う、ほんのひとときの時間をお互い楽しみにしていました。

輝くような笑顔で ”バイバイ!” と手を振って別れる西の姿を、

いつしか好意の眼差しで見つめている自分に気がついた伊東は、

その日を境に、白線から離れます。

西は、晴れの日も雨の日も、今日は?明日は?と、

いつか来る伊東の姿を白線の上で待ち続けます。

白線を辿って伊東に逢いに行った西は、

”俺を置き去りにして 一人で勝手に外れるな!” と伊東に詰め寄ります。

 

19歳。線の上だけじゃなく、横に並んで一緒に歩くようになった西と伊東。

大学生になった2人は、

想いを確かめ合ってキスをして、さらに進んだその先へ歩き出します。

”この線がどこへ向かうのかわからなくても ふたりならきっと…” と、

淡い未来を見つめて。

 

28歳。社会人生活を送る西と伊東。

あの頃のままに輝く笑顔を向ける西と、先の見えない不安に侵食されていく伊東。

2人の未来を信じる西は、

いつか一緒にアラスカに行こうと言います。

空に線を描くオーロラを見に行こう!と。

しかし、約束はできない…と言う伊東は、

2人の未来には何もうまれない…と、不毛な関係を終わりにします。

 

線が途切れた2人。。。

夜の街をふらふらと彷徨う西と、

結婚して世間一般の線の上を落ちることなく歩く伊東。

夜明け前の公園で、昇る朝日を見ながら伊東は想います。

いつもきらきらと輝く笑顔を向ける西を、誰よりも強く愛するようになっていた自分。

いつか西が世間的な価値観に気づき、自分よりも大事なものを見つけた時、

俺は西と離れることができるのか?いや、きっと壊れてしまう…。

だから、”心に蓋をした これ以上深く愛してはいけない" 。

しかし、きらきらと光る朝日が蓋をした心を再び照らして…。

 

36歳。アラスカのオーロラツアーで再会した西と伊東。

一方的に2人の関係を終わらせた伊東に殴りかかる西ですが、

”愛してるからもう逃げない 二度と離さない!” と言う迷いのない伊東の言葉に、

”ずっと傍にいると約束してほしい” と言います。

”2人でいれば怖いことなんて何もない” と。

2人は再び同じ線上を歩み始めます。

 

幸せな2人の季節が巡って、69歳の春。

病に伏せっていた伊東は静かに旅立ちます。

 

82歳。出会ったあの頃のように白線の上を翔ける西。

その線の先には「天国デートスポット100選」を広げて待つ伊東の姿。

輝く笑顔で再会した2人は、空に線を描いて飛んでいきます。

 

涙が溢れて文字が打てません…(T^T)

自分で書いて自分で泣いてりゃ世話ないです(^^;

 

とめどなく溢れる涙をそのままに、この2人の生涯を見つめました。

途中、伊東ってズルいなと思ったりしました。

自分一人で怖がって西から逃げて、世間一般の安心安定を求めて結婚して。

でも、やっぱり西が好きだと気づいて、離婚して、奥さん傷つけて。

なんて自分勝手なヤツ!と思ったり。

一人置いて行かれた西の気持ち考えたか?

どの口でいまさら愛してるなんて言ってんだ!と思ったりしました。

 

だけど、あのオーロラの空の下 ”はなれない!” と

言ってしっかりと抱き合う2人を見て、

号泣の涙とともに、そんなつまらない怒りも流れて消えて。。。

「病める時も健やかなる時も死がふたりを分かつまで」彼らは幸せに過ごしました。

もう、それで十分です(T∪T)

 

映画でもドラマでも本でも何でも、

死に別れてしまう類のものはあんまり好きじゃないです。

最後に悲しさが刻まれてしまって、どうしようもなく切なくなるから。。。

しかし、この『Life 線上の僕ら』は、

泣くんですが、すごい幸せな気持ちが溢れて、

また彼らの出会いから振り返って読みたくなるんです。

別れが来るとしても、あの日の白線上の彼らに会いたくなるんです。