しろくまBL部

腐女子のBL覚書

『官能リマインダー』(作者:ウノハナ)

 官能リマインダー  官能リマインダー

優しくなんてしなくていい。お願いだから俺を縛って…。
過去のトラウマから、縛られないとイけない性癖を持つ宗平(そうへい)。
親友への恋心を断ち切るために訪れたフランスで、美貌の男と一夜を
共にする。ところがなんとその男・ルカスと、大学の同級生として
まさかの再会!?派手な見た目や軽薄そうな口ぶりとは裏腹に、望み通り
縛って抱いてくれるその手は優しい…。ルカスとの身体の関係から抜け
出せずにある日、腕に残る情事の痕を親友に見られてしまい…!?

 

「優しくなんてしなくていい。お願いだから俺を縛って」

ウノハナ先生、SMですか!?

と思いましたが、ぜ~んぜん!

とっても切なく、とっても優しい物語でした。

そうよね~ウノハナ先生がSMってね~なんて思いましたが、

でも、けっこうしっかり縛ったエロが展開されていました。

ウノハナ先生にしては、かなり濃厚度数の高いエロでした(^^)

 

自分に自信がなくて、自分の殻から抜け出せなくて、

自分と人との間に壁を作って、踏み込まないし近寄らせない。

だけど、ほんとはちゃんと愛されたいと思うし、

ちゃんと愛したいとも思っている宗平。

しかし、自分のすべてが暴かれそうで怖い。

きっとみんな変なヤツだと言って離れてくから。

唯一、そんな宗平の手を引いてくれる親友・彰大(あきひろ)。

いつも逃げ腰の宗平を仲間の輪の中に導いてくれる彰大に

宗平はずーっと片想いしていました。

 

しかし ”俺、彼女できた♪” という彰大の言葉に、

一気に地獄に突き落とされた宗平です。

諦めないといけないのに、友達にならなきゃいけないのに、

彰大を前にすると切なくて苦しくて平静を保てない。

だから宗平は、カメラのファインダーの中に逃げ込みます。

レンズを通して見る世界の中では、

心穏やかに、静かな自分でいられるから。

 

そしてそのカメラと共に「現実逃避の旅」に出掛けた宗平は、

訪れたフランスで交通事故に遭ってしまいます。

言葉もわからない異国の地で、

ケガをした宗平を介護してくれた碧い瞳の王子様。

ルカスという名のその美青年に、

なぜか素直に自分をさらけ出すことができた宗平。

異国の力かただのヤケか…?

ルカスと一夜を共にした宗平。

縛られないとイけないという宗平の正体を知っても、

優しく微笑んで望み通りにしてくれたルカス。

旅の最後の良い思い出となるはずだったのに…。

 

日本に帰国してまさかの再会!しかも同じ大学!?(^^;

一度きりだと思ったあの最後の夜の出来事が、

帰国後の2人の間では、

「遊び感覚」でちょくちょく営まれるセッ〇スになった。

 

自分のすべてを知っても変わらず傍にいるルカスに戸惑う宗平。

お構いなしに宗平を暴きにくるルカスを、

最初はウザいと思っていたんだけど、

どんなにウジウジしてみっともない姿を見せても、

ルカスは変わらず優しく抱きしめてくれる。

君が大好きだよ♪と微笑んでくれる。

縛られないとイけないプレイにもノリノリで挑んでくれる(^^)

 

そんなルカスに徐々に心を開いた宗平は、

一切の壁もなく、負い目やわだかまりもない素直な自分自身で、

ルカスと向き合うことができました。

また、縛られなくとも、

自由に思うままに快楽を味わうことができるようになりました(^^)

 

非常に懐が深く、心の広いルカス様様のハピエンでありました。

こんなに辛抱強くというか、

忍耐強く宗平を待つルカスが ”素敵♪” のひと言です。

宗平がちゃんと自分の力で乗り越えるのを待ってる。

僕の胸はいつでも宗平のためにオープンしているからね♪みたいな。

やっぱり外国人の血が入っているからでしょうか?

深刻に思い詰めるんじゃなくて、

良い意味で軽く捉えて、

ノリいい感じがストーリーを重々しいものにしてないんですよね。

さすがウノハナ先生だなと思いました。

 

あと共感したのが、

先日に引き続きましての当て馬キャラさんです。

宗平の片想い相手である彰大。

いや~この方も良い当て馬さんでした。

ちょっと嫉妬が混じる、

少~し「悪」というか「執着」を匂わせる感じが、

あぁなんかわかるわ~と思ってしまいました。

 

宗平に好意を寄せられている優越感と、

だからコイツは俺から離れてかないという安心感。

彰大はこれに浸かってたんじゃないのかなと思いました。

宗平の向ける切なく熱い視線は俺だけのものだと。

引っ込み思案の宗平の手を引いていたのも、

宗平の気持ちを動かせるのも俺だけだと、

俺が居ないと宗平はダメダメになっちゃうんだと、

知ってか知らずか、計算か無自覚か、

”宗平は俺の物、盗るべからず” アピールだったんじゃないのかなと。

 

だから、

宗平の隣にいきなり知らない男・ルカスが立っていたのが

無性に悔しくて腹立たしくて、嫉妬心が掻き立てられた。

俺だけの宗平だったのに!って。

俺だけを熱く見つめる宗平だったのにって。

「逃がした魚は大きい」ってやつで、

失って初めて自分も宗平が好きだったことに気づく彰大なんです。

ずっとそれを認める勇気がなくて、

認めてしまうのが怖くて、宗平の想いに乗っかって悦に入ってた。

 

めっちゃわかるな~と思いまして(^^;

”誰かに好意を寄せられる” ってやっぱり嬉しいことで、

自分の自信になるし力になるし、

認められているという自己肯定感にもつながるし。

だからそれが無になった時の喪失感たるや、如何ばかりか。

なんてね、思ったりして(^^)

またもや当て馬キャラに感情移入してしまいましたが、

今作は宗平とルカスのイチャエロが多かったのと、

切な受けの宗平に胸キュンしたのとで、

メイン2人が輝くとてもおもしろい作品でした。

やっぱりウノハナ先生はおもしろいな~と再認識です!

 

 

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