しろくまBL部

腐女子のBL覚書

『レンタル彼氏のお尻をご指名』(作者:百瀬あん)

  レンタル彼氏のお尻をご指名   レンタル彼氏のお尻をご指名

レンタル彼氏のアルバイトをしている大学生の伊織(いおり)は、
ある日、環(たまき)という男性の依頼を受ける。環はアダルト
グッズを作る会社で働いていて、PR目的で女子大生になりす
まし、自社製品を紹介するブログを書いているらしい。その
ブログで男性向けの玩具を使った「彼氏のお尻開発日記」を
書きたいと、「彼氏役」を依頼さえるが、もちろん伊織の返事
はNO!でも、個人情報を盾に脅されてしまう…。「お尻だけで
イけるようになる!」を最終目標に、しぶしぶ従っていた伊織
だけど、回を重ねるごとに気持ち良くなっていき、さらに、
S気たっぷりの環が時折見せる優しさにドキドキしてしまい!?

 

始まりはどうであれ、

最終的にイイ感じのラブラブ感漂う2人が、

めっちゃ良かったです(^ω^)

ちょっと愛想なしだけど、

大人の男のシュッとしたカッコ良さと、

酔った時の可愛さが同居する環さんが良きでした。

第一印象は優しげな好青年のメガネ男子で、

こんな人が彼氏なら文句なしだわ~と思うイイ男っぷりでしたが、

正体はとんだゲス男でした(^^;

ってか、正当な(?)理由があってのゲスだからいいんでない?

なんて思いましたが、

騙して家に連れ込んで、

おまけに尻穴弄らせろと迫るのはやっぱりダメか…(^^;

何すんだテメェ!と伊織くんが怒るのも無理はない(^^;

 

レンタル彼氏のバイトをする伊織くんの元にきた依頼は、

男性からのデートのお誘いでした。

親しみのある笑顔を向け、”環” と名乗るこの男。

兄貴がいたらこんな感じかな~なんて思いをはせる伊織くんでしたが、

紳士の仮面を脱いだ環さんは、

アダルトグッズの企画&開発&PRのお仕事をしている人で、

そのPRの一環として「彼氏のお尻開発日記♪」なるブログ更新のために、

伊織くんの尻を開発させろと脅してきました。

自分の性欲のはけ口に…というのではなく、

仕事の一環で…だから、正当な理由かな?と思ったりしたんですが、

脅すのはやっぱりよくないですね(^^;

しかも、

個人情報をバラまかれたくなかったら…というあるあるの脅し(^^;

 

脅されて、

仕方なしに環さんにお尻を突き出すことになってしまった伊織くん。

これがまたね、伊織くんのお尻がキレイなんだわ(^^)

ペカ~と輝くツルツルお尻してますのよ~。

きれいだな~とガン見してる環さんがおもしろかったです。

 

最悪な始まりでしたが、

男に尻弄られるなんて違和感でしかないわ…、

と思っていたのは最初だけで、

徐々に徐々に、あれよあれよと、気持ちイイ~~~♪(≧▽≦)

イヤイヤイヤ!何を感じておるんだ!と否定する伊織くんでしたが、

しまいには、

環さんの指だけじゃなく、環さん自身にドキドキする自分がいて。

温かい手で頬にふれる環さんがとても優しくて。

このシーンがとっても素敵でね~良きでした(^^)

あまりのお尻の気持ち良さに苦し涙を流す伊織くんの頬をね、

大きな手でそっと包む環さんにキュンでした。

さらにそんな環さんの腕に、

顔をスリスリする可愛い伊織くんにも激キュンでした♪

 

そのあとはあるあるの流れでございます(^^)

お互い好き同士になったのに、

大人の環さんは身を引こうとしちゃうんですね。

環さん自身はゲイなんですけど、

ノンケの伊織くんをこちら側に引きずり込んじゃいけないと思って

一切の関係を断ち切ろうとするんですけど、

何を勝手に割り切ろうとしとるんじゃい!と伊織くんが乗り込んで、

”アンタのせいで尻で感じる身体になっちゃったんだから責任取れよ!”

ってやつですね(^ω^)

どうなっても知らんからな!と、

環さんの往生際の悪い念押しが入り~の、

2人の両想いHが成就して…という流れでございました。

 

環さんのメガネの奥で鋭く光る眼差しがやたらエロかったです。

そして、それが大好物だ!と、

やっぱメガネ男子大好きだ!と再認識するに至りました(^^)

あと、百瀬あん先生の描くカップルって、

わたし的にすごく甘くて、

ちょっとしんどくなりがちだったんですけど、

今作の伊織&環カプは、

甘すぎずベタすぎずのクールな程よい距離感がめっちゃ良かったです。

環さんの普段のつっけんどんな感じからの、

酔っぱらって急に甘えたモードになる様にクラッときましたし、

あとがきに描かれている、環さんに甘える伊織くんの図も最高でした!

 

それで思いましたが、

作家さんの書かれるあとがき好きだな~と。

自分に似たアバターを登場させる作家さんもいれば、

動物のアバターを登場させる作家さんもいて、

みなさんそれぞれの味が出ていておもしろい(^^)

百瀬あん先生はウサギのアバターで、

ちょいちょい悪ウサギが出てたりするし、

市川けい先生は確かかっぱのアバターだった気がする。

マミタ先生はおかっぱ頭のアバターで(^^)

 

シンプルに終わる作家さんもいれば、

わちゃわちゃと遊び心を出す作家さんもいて、

最後にあとがきを読んで、

ああ~おもしろかったぁ~(^^)と終わるのがとても好きです♪

 

 

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『上手な嘘で騙されて』(作者:峰島なわこ)

 上手な嘘で騙されて  上手な嘘で騙されて

研究所に勤める西園寺(さいおんじ)は、同僚の三砂(みさご)と恋人同士。
だけど、三砂の意味不明な態度にいつも泣かされてばかりいる。恋愛
経験のなくバカ真面目な自分が、若手のホープでルックスもいい三砂
となぜ付き合えたのかまったく自身がない西園寺は、ある日、6回目
となるセッ〇ス禁止を言い渡されてしまう!! どうしても三砂をつなぎ
とめたい西園寺は、三砂をその気にさせるべく、身体を張った作戦を
実行することに…!?

 

裸エプロンは正義か?

 

ちょっと前に感想した『センチメンタル・ダーリン』でも、

攻めが受けの気を引きたくて、

ヒラヒラのエプロンでお出迎えするシーンがあったんですが、

今作でも ”嫌われたかも…?” と思った西園寺さんが、

三砂さんの気持ちを繋ぎ止めようと、

裸エプロンでお出迎えするシーンがありました。

 

気を引くためにやる数々の行動の中に、

必ずと言っていいほど「裸エプロン」が選択肢に上がっている不思議。

普通に考えたら、

真っ裸にエプロンて ”何してんねん!?” って話なんですが(笑)、

やっぱ好きな人がやってると効果的なんでしょうかね?

 

で、想像してみました。

わたしの大好きな『囀る鳥は羽ばたかない』の矢代さんが、

裸エプロンでタバコくわえながら ”おかえり” と言っている姿を。

 

うむ……エロいな。

やっぱ裸エプロンは正義だと思いました(笑)

 

ということで今作『上手な嘘で騙されて』は、

超~クソ真面目な理系男子西園寺さんが、

裸エプロンでお出迎えしたり、

普段絶対言わない淫語連発したり、

ベッドでドッキリ!全裸でお出迎えしたり、

精力増強フルコースクッキングしたり、

”お風呂でお背中流します♪” のソープ系だったりしながら、

気さくで明るく誰からも好かれる、

グッド・ルッキング・ガイの同僚であり恋人でもある

三砂さんの気を引くところから物語は始まります。

 

なぜこんな無理をしてまで西園寺さんが三砂さんを

引き留めようとしているのかというと、

三砂さんから「セッ〇ス禁止令」を言い渡されたから。

しかも今回でなんと6回目!

そりゃ、自分に何かあるのではないか?

嫌われたのでは?他に好きな人が?と、

西園寺さんが不安になる気持ちも無理はない。

もともと真面目しか取り柄の無い根暗な自分と、

あんなに陽キャで将来有望な男前男子である三砂が

恋人同士であること自体が七不思議のひとつで、

いつ愛想をつかされてもしょうがないことなのだ、

と思う西園寺さんなのです。

 

がしかし!

これはすべて三砂さんの思惑通り、計画の内だったのです!

わざと思わせぶりに距離を取って、

西園寺さんの気持ちを揺さぶり、

”きっと彼は寂しがってあれやこれやと僕の気を引こうするだろう”

この予想と結果が見事合致した時の達成感がたまらなく楽しい♪

という三砂さん。

”やっぱりなぁ~そういう反応すると思ったよ~(^^)♪” って。

 

コラァーーーー!!!! ですよ(`・ω・´)

そんな人を試すようなことすな!ですよ。

ちょっとね、読んでてプンプン丸になりました。

好きな人の気持ちを弄ぶようなことはしたらいかんです!

西園寺さんが一途に三砂さんのこと好きだから、

余計に可哀想になりました。

本当に三砂さんは西園寺さんのこと好きなのか?と

思ったりしたんですが、

三砂さんの言い分は、

西園寺さんを翻弄することに罪悪感を感じないわけではないが、

すっかり素直に騙されてくれる彼がたまらなくかわいいんだと。

思い通りになるから好きなんじゃなくて、

好きだから思い通りにしたいんだ” と、そういう訳なんだそうです(^^;

 

いやいやわからん!わたしにはわからんぞ!と(^^;

騙される身にもなってみなさいな!と思う次第です。

そして、そう思っていたのは西園寺さんも一緒でした。

ちゃんと三砂さんにお灸をすえるストーリー運びになっております(^^)

 

出張に出かけた西園寺さんにすぐに帰ってきてほしくて、

”体調が悪い” と一番最悪な嘘を付いた三砂さん。

心配する西園寺さんの電話にも出ず、音信不通の状態にして。

あわてて帰ってきた西園寺さんの前には、

ケロッとして笑顔で寝転ぶ三砂さんの姿がありました。

”体調悪いなんて嘘だよ~、君に早く会いたかったから♪” って、

しれっと言う三砂さんに、静かに静かにキレた西園寺さん。

あまりに静かすぎて、三砂さんはそれに気づきませんでした。

 

「西園寺の逆襲」開幕です。

三砂さんと職場では仕事上の話はするけれど、

それ以外は完全無視!スルー!

話しかけられても ”我微動だにせず” です(-_-)

一切の連絡も拒否!家に来ても居留守!

知らない男と連れ立って歩く姿を見せつける!etc

 

やれやれ!もっとやれぇ~と思っちゃいました(≧▽≦)ノ

懲らしめるなら今です!ふふふ♪

 

傷心の三砂さんは、

ようやく騙される側の気持ちを理解しました。

こんなに耐えがたく辛いものだったんだと気づいたんです。

そして、それをわかってくれただけで十分だと、

そっと三砂さんを抱きしめる西園寺さん。

許す許さないじゃなく、別に怒っていたわけでもなく、

ただ、騙されて傷ついた私の気持ちを君にも知って欲しかったんだと。

めっちゃイイ人です、西園寺さん。

めっちゃイイ人で、三砂さんにめっちゃ甘々です♪

なので、無事2人は元通り。

というか、前にも増してのラブラブENDでございました(^^)

 

峰島なわこ先生は、

ストーリーがおもしろい作家さんだなと思いました。

以前感想した『八束課長は憂鬱になれない』しかり。

クスっと笑えるのに、どこか切な寂しい空気感が漂う。

今作の『上手な嘘で騙されて』は、

表紙のナヨっとした絵がちょっといただけないかな?

と思ったりしましたが、

中身は違ってしっかりしていますので、

ぜひ表紙で除外せず、

中をチラ見して欲しいなと思う1冊でございます(^ω^)

 

 

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『ひねもすのたり君と僕』(作者:木下けい子)

 ひねもすのたり君と僕  ひねもすのたり君と僕

長屋のお隣同士で暮らす幼なじみの尚之(なおゆき)に、ずっと片想いを
している洋(よう)。けれど、情が深くて世話焼きな尚之が惚れるのは、
しっかり者の洋とは真逆のダメ男ばかり!! 俺ならなおちゃんを幸せに
するのに…。隣で歯がゆく見守ることしかできなくて!?

 

ありふれたお話でも木下けい子先生の手にかかると、

とても秀逸な物語になる(^^)

ユーモアがあってクスっと笑えてホロリと涙がこぼれる。

最後は、ああ~良かった良かった♪で読み終わる。

木下けい子ワールドが今作も満開でございました。

 

クセ強なのにどこか抜けてるかわいい男がここにいます♪

その名は「なおちゃん」。

情が深くてホレっぽくて、すぐにフラれていつも泣いてる。

”俺はもう…恋…なんてしない(T^T)”

 

”マッキーか?”

つっこみを入れるのは、

なおちゃんの2つ年下の幼なじみ「洋ちゃん」。

いつもフラれて泣いているなおちゃんを慰めてくれる。

 

”違う!”

”もう恋なんてしないなんて言わないよ絶対、じゃないやつだよ!”

こんな2人の掛け合い漫才のような会話。

ポンポンと打てば響くテンポ良い会話のリズムが

とっても心地良くておもしろくて、フフフ♪と笑っちゃいます。

 

洋ちゃんはなおちゃんのことがずーーーっと好きなんです。

だけど、なおちゃんが好きになる男は、

洋ちゃんとは似ても似つかないタイプの男ばかり。

緊縛プレイが好きな変態男だったり、

売れない俳優のヒモ男だったり、

夜のお店を経営するヤクザ男だったり。

そろいもそろってダメ男。

 

”目の前にこんなにイイ男がいるのに!”

”なおちゃんのバカ!大馬鹿!!”

心の中で日々毒づく洋ちゃんなのです。

 

しかし、そんなダメンズウォーカーであるなおちゃんの元に、

ついにホントのイイ男がやってきちゃいました!

縛らないし、定職にも付いてるし、昼に働く健全な男。

いつか、なおちゃんが本当にふさわしい相手を見つけたら、

洋ちゃんはこの想いを捨てて、

なおちゃんから離れようと思っていました。

そしてその「いつか」が、ついに来てしまったんです…。

なおちゃんが大家さんをしている、

昭和レトロな長屋の一室を借りて同居していた洋ちゃんでしたが、

”俺、引っ越すから” と宣言しました。

なおちゃんを幸せにしてくれる人ができた今、

もうお世話係の自分は必要ないから。

 

それに戸惑ったのはなおちゃんでした。

何かにつけ慰めてくれたり、怒ってくれたり、

涙拭いてくれたり、心に沁みるご飯作ってくれたり、

やいのやいの言いながら、

いつも側にいてくれた洋ちゃんが……いない。

そんなの無理!耐えられない!

洋ちゃんに会いたい!

抑えられない気持ちを抱えていたなおちゃんの元に、

「洋ちゃん緊急手術!!」の報せが!

 

幸い大事に至らず、ベッドで横になる洋ちゃんに、

”なんでもわがまま言いな。俺なんでもしてあげるから” と、

声をかけるなおちゃんに、

なんと洋ちゃん ”キスして欲しい” と告げます。

”むしろもっとなおちゃんとHなことしたい” と。(きゃっ♪^^)

 

”死にかけて本当に人生後悔した”

”なおちゃんのことずっと好きなのに、

めちゃめちゃ好きなのに、

なんで言っとかなかったのかなってものすごい後悔した”

 

この洋ちゃんの言葉、重いけどほんとにそうだよねと思いました。

「後悔先に立たず」

思ってることはちゃんと口にしないと伝わらないから。

 

色々回り道して拗れましたが、

なおちゃん、洋ちゃん、ようやく両想い(^ω^)

さぁさぁHしましょうよ!と迫りまくるなおちゃんですが、

絶対嫌っ!と言う洋ちゃんなんです。

なんでよ~となおちゃんと同じくわたしも思っていたら、

手術で下の毛を剃って、

まだ生えそろってなくて恥ずかしいから嫌だと。

”んな、処女みたいなこと言って~” というなおちゃんでしたが、

なんと洋ちゃん、処女いやいや童貞でした(^^)

ずーっとなおちゃん一筋だったから、まだシたことなかった。

 

うんもうぉ~かわいいぃ~♪

なおちゃんに先駆けて、

気持ち悪い声を出したわたくしでございました(笑)

 

番外編含め、最初から最後まで大満足の1冊でした!

木下けい子先生のほんわりした絵にいつも癒され、

ユーモアの効いた会話に心くすぐられ、

ほんのり涙しながらも胸躍るストーリーにワクワクする。

やっぱりおもしろいです、木下けい子作品♪

また他のも読みたいな~(^^)

 

 

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『犬と鶯』(作者:柵飛ヒツジ)

  犬と鶯  犬と鶯

居酒屋・初鶯(はつうぐいす)で働く犬飼斗真(いぬかいとうま)。
彼の恋する相手は、年上で調理担当の柳雪春(やなぎゆきはる)。
しかし、柳にはずっと心に秘めた相手がいた。自分のことを
見てほしくて、つい酔った柳に手を出してしまった犬飼。
彼の想う「あの人」の代わりになんてなれないことは分かって
いたのに…。報われない者同士の真っ直ぐな愛を描く。

 

今作は、

あんまり聞いたことない(?)作家さん・柵飛ヒツジ先生の

デビューコミックスにして唯一の単行本『犬と鶯』の感想です。

どうかな~と思って試し読みしましたら、

続きめっちゃ読みたい!という衝動にかられ買ってしまいました。

というのも、

数ページの試し読みに出てきたセリフに心掴まれたから。

 

料理店のオーナー藪島(やぶしま)さんに片想いする調理担当の柳さん。

そして、そんな柳さんに片想いするホール担当の斗真。

絵にかいたような一方通行の恋です。

オーナーを見つめながら、

優しく微笑む柳さんを見た斗真が発したセリフ、

”俺にあの顔を向けて欲しかった…” という言葉。

わかりみが深すぎて胸が締め付けられました(>_<)

 

彼らの一方通行の恋が、

どう成就するのかが無性に気になって衝動買いです(^^)

 

割と目鼻立ちのしっかりした絵を描かれる作家さんで、

攻めはクリクリお目目のかわいいワンコ系、

受けは寂しげな切れ長の目で、恋に消極的な年上系と、

非常に典型的なノーマルBLで、

可もなく不可もなくおもしろかったです。

 

斗真が ”俺にあの顔を向けて欲しかった…” という言葉を発したのは、

自分の好きな人が、

自分じゃない誰かを想っている姿を見るのが辛かったから。

なぜその優しい眼差しを向ける相手がオレじゃないのか。

柔らかく微笑むその笑みは決してオレに向けられない。

 

辛くて苦しくてしんどくなって、

斗真は柳さんに酷い言葉を投げてしまうんです。

”さっさと告って、さっさとフラれればいいんだ” と。

振られたからといって、

柳さんの目が斗真に向くわけはないんですけどね…。

しかし、

そんな黒い想いが湧き出る気持ちはわかるな~と思ったんです。

 

で、さらに斗真はそっからちょっと暴走しちゃって、

ムリヤリ柳さんを襲おうとしたんです。

ギリギリ理性が上回って、

取り返しのつかない事態はまぬがれましたが、

ちょっとギクシャクした関係になってしまって…。

 

お店を辞めようと考え始めた斗真でしたが、

”簡単に逃げ出して諦められるような軽い恋じゃない!” と思い直して、

ちゃんと正面から柳さんに気持ちを伝えることに。

そして斗真の正直な想いが徐々に柳さんの心に響いて…。

ウグイスが鳴く春になった頃、

木漏れ日の中、共に歩く2人の姿がありました(^^)

 

前編後編に分かれていましたが、

ページ数が少ないので若干、駆け足という感じでした。

もう少しゆっくり進んだら、

もっと良い感じになったかもなんて思ったり(^^)

しかしそれもそのはずで、

全182ページの中に、表題作の前編後編と、

他に短編2つも収録されているんです。

獣人と人間の恋を描いた『ニンゲンのお医者さん』と、

12年振りの再会恋を描いた『朱に交わって赤くなる』。

そりゃ急ぎ足にもなるわな(^^;

1つ1つそんなに悪くない物語だったので、

なんか惜しいなぁ~という感想でございます。

 

セリフ1つに惹かれて読みましたが、

たまにはそういうのも良いじゃない♪という1冊でした(^^)

 

 

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『いびつなボクらのカタチ(上・下)』(作者:見多ほむろ)

  いびつなボクらのカタチいびつなボクらのカタチ

7年付き合った彼氏に、置手紙一つでふられたピアノ教師の佑真(ゆうま)。
自暴自棄になり行きずりの男と身体を重ねた翌朝、母親が怪我をしたと
いう報せが入る。慌てて実家に帰ると、そこには見知らぬ男・伊吹(いぶき)
が!! 偶然、町で出会った母を気にかけてくれていたという彼は、なんと
ピアノ教室の生徒・舞花(まいか)の父親だった!! 介護士をしながら、男手
一つで娘を育てているらしい。数奇な巡りあわせに、佑真は伊吹のこと
を少しずつ意識するようになって…!? まるで隙間を埋め合うように惹かれ
合った男達とその家族の、いびつで美しい愛と再生の物語ーー。

 

上下巻モノの何が好きって、

表紙を並べると「一枚の画」になるところがとても良き!

紙媒体で持っていたならば、上下並べて置いておきたい!

とても綺麗で素敵な装丁です。

 

黒髪の佑真さんと茶髪の伊吹くんが抱き合う表紙となっていますが、

物語は2人の単なるラブストーリーではなくて、

”これは僕らが このカタチになるまでの

 とても小さく普通で ありふれた物語”

壮大な、2つの家族の幸せの物語が描かれていました。

 

さっそくのネタバレになりますのでご注意下さい<(_ _)>

↓↓↓↓ ↓↓↓↓ ↓↓↓↓ ↓↓↓↓

 

 

タイトルにもあるようにいびつなカタチをした2つの家族。

ピアノ教師をする佑真さんと離れて暮らすお母さんの1家族と、

介護士をしながら、

男手一つで小学2年生の舞花ちゃんを育てる伊吹くんの1家族。

この2つの家族、誰一人として血の繋がりがありません。

最初から最後まで、

舞花ちゃんと伊吹くんの親子関係に目が行きがちなんですが、

終盤の方で、佑真さんとお母さんも血縁関係がないことが

さらっと打ち明けられてまして、

えっ!?そうだったんだと思う感じです。

 

そんな何にも繋がらない4人が、

それはそれは綺麗な輪になるんです。

こんなに幸せで素敵な家族がいますかというぐらい、

優しくて柔らかいけれど、しっかり固く結ばれた家族になる。

決して ”いびつ” なんかじゃない。

「家族」って血の繋がりだけで成り立つものじゃないなと思える。

いかにその人を大事に想っているか大切に想っているか。

その想いが血を越えるんだなと。

 

高校生だった伊吹くんは、

重病のお母さんの入院費を稼ぐため、

いわゆる「ウリ」をしていました。

そしてお客さんとしてやってきたのが沢田誠二(さわだせいじ)さん。

伊吹くんの内情を知った誠二さんは、

給料を払うからと伊吹くんを雇い、

自分の身の回り&まだ乳飲み子の一人娘の世話をお願いしました。

この小さな赤ん坊が舞花ちゃん。

 

誠二さんは病気を患っていて、一人残す舞花ちゃんを心配し、

すでに母親の最期を看取っていた伊吹くんに、

”養子になってほしい” と頼みます。

舞花のこれからをお願いしたいと。

なので、伊吹くんと舞花ちゃんは親子ではなく兄妹。

しかし誰がどう見てもお父さんと娘である上に、

世間的にもそうした方が波風立たないし、

舞花ちゃんが成長していく上でも健全である。

そう思いながら、小学2年生になった舞花ちゃんと、

忙しくも楽しい日々を送る伊吹くんです。

 

一方、7年付き合った彼氏にフられ自暴自棄になっている佑真さん。

行きずりの男とセッ〇スしてぐったりお疲れモードのところに、

実家の母親がケガをしたとの知らせが。

急いで駆けつけたらば、

玄関の戸が開いており、見知らぬ靴が脱ぎ散らかっており、

そして、母親に覆いかぶさる大きな男の黒い影がっ!!!

 

バキンッ!!とほうきで男の背中をシバく佑真さんでしたが、

逆にその男に一本背負いを決められて返り討ちに!

万事休す!と思ったところへ、

”パパ、やめて!その人、ピアノの先生だよ!”

舞花ちゃんの声でシーンと静まった空間には、

驚いてベッドから起き上がるお母さんと、

畳みにねじ伏せられた佑真さんと、

その上に乗っかる伊吹くんがいました。

4人の出会い完了です(^^)

 

佑真さんのお母さんを、

”おばあちゃん” と呼び、懐く舞花ちゃん。

時折、様子を見に、

伊吹くんとおばあちゃん家にお邪魔していて、

それを空き巣だと間違えた佑真さんだったのです。

そして佑真さんはなんと、

舞花ちゃんが習っているピアノ教室の先生なのでした(^^)

 

このいびつな4人の出会いが、

後に感動と喜びをもたらす、大きな大きな幸せへと繋がるとは。

あっという間の上下巻で、とっても素敵な物語でした。

見多ほむろ先生、間違いなし!と確信した作品になりました。

素晴らしかったです。

4人それぞれのキャラ立ちが素晴らしくて、

1人1人ちゃんと個性が際立っていました。

 

自分の内に気持ちを閉じ込めがちな佑真さん。

ゲイであるということにもどこか後ろめたさを感じています。

徐々に伊吹くんに気持ちを寄せていくんですが、

どうしてもそれを素直に表に出せずにいます。

 

1人たくましく生きるおばあちゃん。

息子の手助けすら不要だ!と跳ねのけるぐらい元気。

孫のようにかわいい舞花ちゃんが来てくれることが元気の源だけど、

やっぱり1人は寂しくて…。

 

いびつな親子関係だと舞花ちゃんに知られることを怖がる伊吹くん。

この娘を幸せにしないといけない!誠二さんと約束したんだ!

1人で気を張る伊吹くんですが、

どうしても頑張り切れず、

時々、弱くてみっともない姿を舞花ちゃんに晒してしまいます。

 

こんなどうしようもない大人3人を、

くるっとまとめて面倒みてあげているのが舞花ちゃん!

こんなに素直でかわいい子、見たことないです。

自分そっちのけで、みんなが幸せになることを考えてるんです。

自分ファーストじゃなくて、みんなファーストなの。

だからでしょうか?

舞花ちゃんはすごく強いんです。

大切な人のために、

こんなにも強くなれる舞花ちゃんに終始脱帽でした(^^)

 

だ・か・らっ!!!!!

重ねてネタバレになりますが、

お嫁に行くのが早すぎるよーーー!!!!!(T^T)

大学卒業と同時に花嫁さんになるんです~舞花ちゃん。

もちろん大好きな人と結婚する幸せな門出なんですが、

伊吹くんと佑真さんをちゃんと2人で幸せにさせてあげるために、

お父さんからの卒業も決めたんです。

舞花ちゃんが結婚式の前に佑真さんにしたためた手紙が、

これまた泣かせるんだわ~~~~(T^T)

 

お父さんを幸せにするのはわたしじゃなくて佑真さんの役目。

だからいい加減、2人の時間を堂々と大事にしてください。

 

最後に4人の家族写真がパシャっと1枚。

”最高に幸せだよ” と言葉を添えて(*´ω`*)

 

おそらく、時々読みたくなる作品になると思います。

読むと必ず幸せな気持ちになれるから(^^)

幸せのカタチは人それぞれでいいんです♪

 

 

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