しろくまBL部

腐女子のBL覚書

『Attachment Love』(作者:松基羊)

 Attachment Love  Attachment Love

交番勤務の警察官・樋山(ひやま)は、ある晩、露出狂(未遂)の大学生・
岡崎を補導する。人に見られたいという特殊な性癖を持っているが、
それを上手く発散できずついこんなことをしようと…という純真そう
な岡崎を放っておけず、つい「俺でよければ付き合ってやろか?」と
声をかけてしまった樋山。それから、誰にもヒミツの歪なホテル密会
の日々が始まりーー!?

 

たぶんわたしだけだと思いますが、

表紙に大きく描かれた男性・警察官の樋山さんが、

にやま先生の『そんなに言うなら抱いてやる』の

表屋ヒカル(ヒカルン)に見えて仕方ないんです。

違うってわかってんのに ”えっ!?” って毎回二度見しちゃう(^^;

めっちゃ似てんな~と毎回思ってるんです。

 

すごくPOPな表紙なので、

明るい、それこそPOPなノリの物語かな?と思いきや、

なかなかにシリアスなトラウマ重めのお話でございました。

 

変態始まりでスタートしたので、

どんな性癖を見せてくれるのかと、

わたしの変態心がムクムクと湧きたちましたが、

え~まったく変態性は無かったです(^^;

 

子どもの頃、助けてくれた警察官の樋山さんが大好きになって、

大学生になった今でも樋山さんへの想いを胸に秘める岡崎くん。

もう一生会えないと思っていた想い人・樋山さんが、

近くの交番に勤務していることがわかった岡崎くんは、

なんとか樋山さんとお近づきになりたくて、

手っ取り早い方法を思いつきました。

”そうだ!捕まろう!”

”樋山さんに逮捕されればいいんだ!” と。

 

逮捕or補導される方法をググった岡崎くんが選択したのは、

「露出狂」

全裸でコートを羽織って、

人が近づいてきたら ”ガバァーッ!” とチ〇コオープンのあれです(^^;

いやいや、もっと他に安全な?というか、

軽い感じのやつあるんじゃないの?と思ったりもしましたが、

それに決めちゃったからしゃ~なしです(^^;

 

案の定 ”不審者がいます!” と通報があって、

現場に駆け付けた樋山さん。

ボロンとデカチ〇丸出しの岡崎くんを交番に連行しました。

岡崎くんのきっかけ作り大成功~(≧▽≦)ノ

 

”憶えてますか?俺の事?” とたずねる岡崎くんに、

”まったく憶えてない” と樋山さんの冷たい返事。

シュン⤵としょげる岡崎くんでしたが、

そんなことよりも露出狂の癖を何とかしないと!と、

心配する樋山さんから願ったり叶ったりの提案がきました。

逮捕も補導もしないけど、

チ〇コボロンを人前で二度としないように、

”君が自慰するところを僕が目の前で見ていてあげる” と(^^;

思わず ”ありがとうございます!” と、

樋山さんを抱きしめた岡崎くん。

 

ラブホの一室にて、

”見ててください、俺がするところ…” と、

全裸で気持ち良さそうにオ〇ニーする岡崎くんを見守る樋山さんという、

なんともシュールでおかしな光景が広がっていました(笑)

しかし、当人たちはいたって真面目ですからね(^^;

 

毎週のようにこの行為をすることになった2人。

”俺のオ〇ニーを大好きな樋山さんが見ている!”

岡崎くんは昂る気持ちが抑えきれず、

”好きです!” と告ってしまいました。

しかし、

”何をバカなこと言ってんだ!” と岡崎くんを突き放す樋山さん。

樋山さん好き好き♪のワンコ系露出狂大学生・岡崎くんの恋は、

一筋縄ではいかないものだったんです。

 

この前半までは、ふふっと笑えたりする場面もあったんですが、

樋山さんのトラウマが暴かれていく後半がシリアス路線に変化。

 

交番勤務の樋山さんは、

昔々は刑事部に所属していて、

バリバリに捜査活動をする刑事さんでしたが、

窃盗罪で捕まえたホームレスの男性に逆恨みされ、

刺されそうになるという事件を起こしました。

樋山さんは完全に被害者なんですが、

このホームレスの男性が窃盗の罪を起こすに至った過程が

なんとも切なくて悲しくて…。

この時もう少し真摯に彼と向き合っていたら

こんなことにはならなかったかもしれない…と、

罪の意識にさいなまれることに。

自ら降格を願い出て、現在の交番勤務に至ります。

 

失語症を患っていたこのホームレスの男性、

1匹の猫ちゃんと一緒にダンボールハウスで暮らしていたんですが、

ある日猫ちゃんが弱ってぐったりしていることに気づきました。

病院に連れて行きたいけれどお金が無い。

悩みに悩んで盗みを働いてしまいました。

事情聴取を受けている間にも猫ちゃんは弱っていきます。

男性は一生懸命説明しようとしていましたが、

この時の樋山さんは聞く耳持たずの冷酷無比で…。

結局、釈放された男性でしたが、

戻った頃には猫ちゃんは亡くなっていて…。

これを恨んでの樋山さん刺殺未遂により男性は服役刑に。

 

そして、樋山さんはこの男性の出所をずーっと待っていたんです。

あの時の事を謝罪したくて。

そんなことで…と思ってしまいますが、

樋山さんにとっては、

この出来事が心に残るトラウマとなっていたんです。

 

岡崎くんの露出狂と樋山さんのトラウマと、

これといって関連性なくない!?と、

読みの浅いわたしは思ってしまいました(^^;

物語的には、

露出狂で捕まった岡崎くんのピュアな(?)優しさと明るさと一途な想いが、

樋山さんの心のトラウマを癒していくという流れでした。

 

猫好きのわたしとしましては、

ホームレスのおっちゃんが飼ってた猫ちゃんを

なんとか助けて欲しかったなという思いが強く残りましたが(^^;、

2人の幸せなハピエンで終わっていました。

ホームレスのおっちゃんも、

出所してきましたが認知症を発症していてそのまま老人ホームへ。

もちろん樋山さんのことも憶えていませんが、

ちょくちょく訪ねてくる樋山さんを、

警察官の息子だとみんなに自慢している風な感じで、

樋山さんの贖罪の日々が報われたような雰囲気だったので、

おっちゃんと樋山さんに、なんか優しい繋がりみたいなのが見えて、

ホッとした気持ちになりました(^^)

 

「露出狂」という始まりのインパクトがデカかっただけに、

その後の展開に期待しすぎて、

若干肩透かしを食らった感もありますが(^^;、

トラウマも消えてみんなが幸せになったので、

良かった良かったの1冊でございました。

 

 

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