研究所に勤める西園寺(さいおんじ)は、同僚の三砂(みさご)と恋人同士。
だけど、三砂の意味不明な態度にいつも泣かされてばかりいる。恋愛
経験のなくバカ真面目な自分が、若手のホープでルックスもいい三砂
となぜ付き合えたのかまったく自身がない西園寺は、ある日、6回目
となるセッ〇ス禁止を言い渡されてしまう!! どうしても三砂をつなぎ
とめたい西園寺は、三砂をその気にさせるべく、身体を張った作戦を
実行することに…!?
裸エプロンは正義か?
ちょっと前に感想した『センチメンタル・ダーリン』でも、
攻めが受けの気を引きたくて、
ヒラヒラのエプロンでお出迎えするシーンがあったんですが、
今作でも ”嫌われたかも…?” と思った西園寺さんが、
三砂さんの気持ちを繋ぎ止めようと、
裸エプロンでお出迎えするシーンがありました。
気を引くためにやる数々の行動の中に、
必ずと言っていいほど「裸エプロン」が選択肢に上がっている不思議。
普通に考えたら、
真っ裸にエプロンて ”何してんねん!?” って話なんですが(笑)、
やっぱ好きな人がやってると効果的なんでしょうかね?
で、想像してみました。
わたしの大好きな『囀る鳥は羽ばたかない』の矢代さんが、
裸エプロンでタバコくわえながら ”おかえり” と言っている姿を。
うむ……エロいな。
やっぱ裸エプロンは正義だと思いました(笑)
ということで今作『上手な嘘で騙されて』は、
超~クソ真面目な理系男子西園寺さんが、
裸エプロンでお出迎えしたり、
普段絶対言わない淫語連発したり、
ベッドでドッキリ!全裸でお出迎えしたり、
精力増強フルコースクッキングしたり、
”お風呂でお背中流します♪” のソープ系だったりしながら、
気さくで明るく誰からも好かれる、
グッド・ルッキング・ガイの同僚であり恋人でもある
三砂さんの気を引くところから物語は始まります。
なぜこんな無理をしてまで西園寺さんが三砂さんを
引き留めようとしているのかというと、
三砂さんから「セッ〇ス禁止令」を言い渡されたから。
しかも今回でなんと6回目!
そりゃ、自分に何かあるのではないか?
嫌われたのでは?他に好きな人が?と、
西園寺さんが不安になる気持ちも無理はない。
もともと真面目しか取り柄の無い根暗な自分と、
あんなに陽キャで将来有望な男前男子である三砂が
恋人同士であること自体が七不思議のひとつで、
いつ愛想をつかされてもしょうがないことなのだ、
と思う西園寺さんなのです。
がしかし!
これはすべて三砂さんの思惑通り、計画の内だったのです!
わざと思わせぶりに距離を取って、
西園寺さんの気持ちを揺さぶり、
”きっと彼は寂しがってあれやこれやと僕の気を引こうするだろう”
この予想と結果が見事合致した時の達成感がたまらなく楽しい♪
という三砂さん。
”やっぱりなぁ~そういう反応すると思ったよ~(^^)♪” って。
コラァーーーー!!!! ですよ(`・ω・´)
そんな人を試すようなことすな!ですよ。
ちょっとね、読んでてプンプン丸になりました。
好きな人の気持ちを弄ぶようなことはしたらいかんです!
西園寺さんが一途に三砂さんのこと好きだから、
余計に可哀想になりました。
本当に三砂さんは西園寺さんのこと好きなのか?と
思ったりしたんですが、
三砂さんの言い分は、
西園寺さんを翻弄することに罪悪感を感じないわけではないが、
すっかり素直に騙されてくれる彼がたまらなくかわいいんだと。
”思い通りになるから好きなんじゃなくて、
好きだから思い通りにしたいんだ” と、そういう訳なんだそうです(^^;
いやいやわからん!わたしにはわからんぞ!と(^^;
騙される身にもなってみなさいな!と思う次第です。
そして、そう思っていたのは西園寺さんも一緒でした。
ちゃんと三砂さんにお灸をすえるストーリー運びになっております(^^)
出張に出かけた西園寺さんにすぐに帰ってきてほしくて、
”体調が悪い” と一番最悪な嘘を付いた三砂さん。
心配する西園寺さんの電話にも出ず、音信不通の状態にして。
あわてて帰ってきた西園寺さんの前には、
ケロッとして笑顔で寝転ぶ三砂さんの姿がありました。
”体調悪いなんて嘘だよ~、君に早く会いたかったから♪” って、
しれっと言う三砂さんに、静かに静かにキレた西園寺さん。
あまりに静かすぎて、三砂さんはそれに気づきませんでした。
「西園寺の逆襲」開幕です。
三砂さんと職場では仕事上の話はするけれど、
それ以外は完全無視!スルー!
話しかけられても ”我微動だにせず” です(-_-)
一切の連絡も拒否!家に来ても居留守!
知らない男と連れ立って歩く姿を見せつける!etc
やれやれ!もっとやれぇ~と思っちゃいました(≧▽≦)ノ
懲らしめるなら今です!ふふふ♪
傷心の三砂さんは、
ようやく騙される側の気持ちを理解しました。
こんなに耐えがたく辛いものだったんだと気づいたんです。
そして、それをわかってくれただけで十分だと、
そっと三砂さんを抱きしめる西園寺さん。
許す許さないじゃなく、別に怒っていたわけでもなく、
ただ、騙されて傷ついた私の気持ちを君にも知って欲しかったんだと。
めっちゃイイ人です、西園寺さん。
めっちゃイイ人で、三砂さんにめっちゃ甘々です♪
なので、無事2人は元通り。
というか、前にも増してのラブラブENDでございました(^^)
峰島なわこ先生は、
ストーリーがおもしろい作家さんだなと思いました。
以前感想した『八束課長は憂鬱になれない』しかり。
クスっと笑えるのに、どこか切な寂しい空気感が漂う。
今作の『上手な嘘で騙されて』は、
表紙のナヨっとした絵がちょっといただけないかな?
と思ったりしましたが、
中身は違ってしっかりしていますので、
ぜひ表紙で除外せず、
中をチラ見して欲しいなと思う1冊でございます(^ω^)