比良木忍(ひらきしのぶ)は兄といっても、血の繋がりはない。義理の兄だ。
竹蔵(たけぞう)は後妻の連れ子として比良木家に迎えられた。
兄はいつも冷たく汚物のように竹蔵を見下す。
深い嫌悪と増悪に満ちた射殺すような視線。
毎日毎時毎秒、兄に殺され続けていた。
竹蔵は兄に欲情していた。
ある晩、竹蔵は正体を偽って兄の寝室に忍んだ。
義姉の香水を身につけ、兄の目を覆い隠す。
そして、己の欲望の猛るままに兄の体を貫いた。
まさに衝撃!すごいもん読んでもうた……という衝撃。
ストーリーもそうですが、画力の衝撃もすごくて、頭クラクラきました(^^;
表紙から漂う背徳的な雰囲気。(この目がイイ!!!)
甘美というより耽美的。(美しけりゃ、道徳なんて関係ねぇ!的な…^^;)
でも「もう読みたくない!」ではなく、
なぜかまた時が来たら読みに戻って来てしまうのです。
(読めば読むほど深みにハマる)
血の繋がらない兄弟・忍と竹蔵。
兄・忍はいつも冷たく厳しく竹蔵に接するが、竹蔵はそんな兄を慕っている。
忍の息子・要(かなめ)は、竹蔵が父のことを好きだと見抜いている。
煮え切らない竹蔵に ”チャンスをあげる” と言う要。
要はわざと父の目を傷つけ、一晩、包帯で目を覆い隠すようにさせた。
そして、竹蔵に母の香水と手袋をつけさせ、父の部屋へ向かわせる。
忍と竹蔵、2人の荒々しい交わりを静かに見守る要。(おまえ、見るんかい!)
翌朝、昨夜の交わりの相手が自分であると兄が気づいていることを悟った竹蔵は、
兄の前から姿を消す。
一年後、竹蔵が経営するフレンチレストランに兄が訪れる。
あの夜の香水の薫りをまとわせ、地下室のワインセラーで目隠しをして立つ兄。
竹蔵は再び、欲望のままに激しく兄と交わる。
それから、定期的に兄からの呼び出しメールが届くようになり、
2人は密会を重ねる。
”その薫りはとても甘く 欲情を煽る一方で 近親的ないっそ自己愛にも近い"
”求めても与えても なにも 埋まらない 生まれない 虚無感”
”それでも何度も何度でも交わる 我々は 孤独だ…”
この一文に背中がゾクゾクっとするような感覚に襲われました。
すごく危険な薫りがして怖くなりました。
ってか、息子の要が一番怖い…。
自分の父親と竹蔵のセックスを平気で見ちゃってますし、
むしろ、もっとやれ的な感じで煽ってますから(^^;
どーすんの?! どーなんのこれ?! って感じで下巻へ続きます。