兄の目を覆い隠し、己の欲望の猛るままに体を貫いた。
あれから何度も何度も交わっている。
兄との道ならぬ愛は、閉塞感を極めていく。
夏の盛り、竹蔵は兄夫婦と別荘で休暇を楽しむことになった。
義理の兄である忍との関係を露ほども疑っていない義姉から女性を紹介される。
竹蔵は彼女に対しすげない態度を取ってしまい、そして……。
その晩の出来事は、兄弟の運命を大きく変えてゆくのだった。
義理の兄弟、禁断の愛と確執を描いた衝撃作。
何も生まれないし埋まらないのに、上巻以上に激しさを増している下巻です(^^;
もう止まれないっていう感じですね、兄さんが。
あの香水の薫りがいつまでも身体にまとわりついて、
いつの時も竹蔵に抱きすくめられているような感覚に陥ってしまってる…。
竹蔵以上に兄さんの方が求めすぎて、
どうしたらいいのかわからなくなってる感じです。
そして、さらなる恐怖・嫁の茉莉子登場。
わざとでしょうか?
茉莉子さん、目が描かれていないんです。描かれているのは口元のみ。
心情を読み取る手掛かりは口元だけなんです。
優しそうに微笑むその口元に怖さしか感じません…(-_-;)
忍と竹蔵の仲を疑い始める茉莉子。
竹蔵に女性を紹介するもすげなくスルーされ、
夫・忍にセックスを求めるも拒絶され…。
ついに探偵を雇って2人の行動を探らせます。
この時の茉莉子の表情が ”狂気的” ……。(高笑いする顔が、あな恐ろしや…T_T)
女性の嫉妬ほど怖いものはないですね。しかも、相手が男でおまけに弟。
この出来事を境に、忍と竹蔵はゆっくりと坂道を転がり落ちていきます。
だけど、2人の間に哀しみはまったく感じなかったです。
上巻ではすごいいけない事をしているような、
倫理観・道徳観に反する行為をしているように思えてしまったんですけど、
2人のことが明るみに出てからは、
その行為がまるで正当性を帯びたもののように見えました。(そして、美しい…)
兄さんは、おそらくずっとずっと昔から、
竹蔵のことを一人の男として愛していたのだと思われ…。
そんな気持ちを抱く自分に嫌悪して、
わざと竹蔵にきつく当たり冷たく当たり、遠ざけようとしていたと思われ…。
だけど、それでも慕ってくる竹蔵に対して、
膨れ上がる自分の気持ちに恐れを抱いていたと思われ…。
2人の想いに気持ちを馳せると、
何ともいたたまれなく切ない感情が込み上がりますが、
なぜか、わたくしはハピエンだと思いました。
最後の場面で、海岸と空のシーンが描かれているんですが、
カラーじゃないのに、ちゃんと色彩が目に浮かんだんです。
青い空に白い雲が浮かんでいるように見えたんですよね。
単純な脳みそですが、
”碧い海×青い空×白い雲+笑顔=ハッピー・エンディング” 公式です!
(これテスト出ます)
…ただ心配なのは、息子の要。
真っ当な人間になっておくれよと願うばかりです。。。