しろくまBL部

腐女子のBL覚書

『むせび鳴け、純情』(作者:松基羊)

むせび鳴け、純情  むせび鳴け、純情

恋しゃちゃいけない人を好きになってしまった。
バーの店員・幸(ゆき)には誰にも言えない秘密が…。
それは獣人であること。そんな彼が恋をした相手は
バーの常連で獣人狩りを生業にするオレ様男・後醍(ごだい)。
獣人だとバレたらこの恋も彼を見る事すらできなくなる。
なのに、アパートを追い出された後醍が幸の家で居候することに…!?

 

人外BL2作品目の今作も獣人モノでございます!

 

物語は、獣人と人間の2種類が存在する世界線

昔々、お互いを迫害し合い、争い合っていた両者ですが、

今現在は協定を結び、

それぞれの居住区を完全に分けることで、

とりあえずの平穏を保っているというぐあい。

しかし、

獣人エリアと人間エリアの中間地点は無法地帯となっており、

一部の獣人が暴徒化して人間を襲っていたりします。

そんな時に出動するのが【対獣人急襲部隊(通称:MGT)】。

暴徒化した獣人を取り締まる、というか ”狩る” 人たち。

 

今作の主人公の1人・後醍さんは、

このMGTに所属していて、トップの狩り率を誇る優秀なハンター。

冷酷無比に獣人を狩りまくるその姿は狂気に満ちていて、

獣人の間ではもちろん、同じハンター同士でも、

血も涙もない鬼のような男だと恐れられています。

がしかし、

業務を外れると一転して「下半身ゆる男」に早変わり。

顔が良くて穴があったら男でも女でもOK!

という性欲モンスターで、仕事帰りの本日も、

えちえちしようよ~♪と、誰彼かまわずアプローチです。

 

そんなチャラ男の後醍さんに迫られまくっているのが、

訳あって後醍さんと同居しているもう1人の主人公・幸です。

ハグやらキスやらはしょっちゅうのことですが、

今日はついにチ〇コを触って来やがりました!

”幸なら抱ける!” と、お尻の方にまで手を伸ばしてくる始末…(^^;

 

待って!待って!と焦る幸。

そんなことしたら…、

(”耳としっぽが出ちゃうっ!!”)

 

そう、幸は「キメラ」という、

半分人間で半分ケモノの「半獣人」なんです。

しかし、

過度の興奮状態にならなければ耳としっぽが出ないため、

幸は自らを人間と偽って生きています。

 

獣人を狩るハンターと獣人が、一つ屋根の下で同居。

バレやしないかと、なんともハラハラドキドキの日々です。

といっても、幸にとっては、

別の意味でのハラハラドキドキも含まれておりまして…。

幸は後醍さんに絶賛片想い中。

下半身ゆる男ですこぶるだらしないけれど、

母親に捨てられ一人ぼっちだった自分に手を差し伸べてくれた人。

”俺がお前の居場所になってやる” と言ってくれた人。

そんな後醍さんを好きになってしまった。

キメラである自分が後醍さんを好きになる資格なんてないのに…。

 

幸の本当の姿を知らない後醍さんは、

幸の気持ちなんてお構いなしで、攻めに攻めまくります。

この後醍さんと幸のえちえち攻防戦が、

シリアスなストーリーの中でのコミカルパートになっていて、

ちょっと箸休め的な、一息つける感じになっています(^^)

 

前半は、そんな幸の秘めたる想いと秘密と、

なんとか幸にチ〇コを突っ込みたい後醍さんという、

どちらかと言うとコミカル多めな空気感。

しかし中盤から、グングンシリアス度が爆上がり!

切なさもプラスされまして、なかなか苦しい展開に。

 

MGTのお偉いさんが幸に接触してきます。

このお偉いさんはオミさんと言って、

後醍さんが尊敬する上司。

いつもロウという側近を連れて行動しています。

このオミさんとロウが幸の耳元でささやきます。

”君、獣くさいね” と。

 

”ヤバイ!正体がバレた!”

慌てて逃げ出す幸にロウが銃口を向け発砲します。

鎮静剤のようなものを打たれた幸は、

みるみる目の色が変わり、耳としっぽが露わに。

そして、銃声を聞きつけ飛んできた後醍さんに、

キメラになった姿を見られてしまいます。

 

”俺を騙してたのか!?” と、目を見開いて叫ぶ後醍さん。

 

すべてが終わった…。

あの楽しかった日々が。ふざけ合って笑い合った日々が。

このまま一緒にいられるんじゃないか、なんて思ってた日々が。

目の前で怒りをあらわにした後醍さんを見て、

もうどこにも戻れない…と悲しみに暮れる幸(T^T)

 

しかし、後醍さんが傍にいてくれたから、

普通の人間みたいに笑って生きてこれた。

後醍さんに恋することができた。

自分を偽って生きてもいい、

そう思えるくらい後醍さんのことを好きになった。

もうそれだけで十分だと、覚悟を決める幸。

どうせ殺されるなら、

最後の最後まで後醍さんの姿をこの目に焼きつけたい!

 

獣人を狩るのが仕事。

後醍さんは職務をまっとうするため、幸に刀を振り下ろします!

 

アアーー!!!(>o<) 

ズドンっ!

 

と思ったら、キスしてた♪(≧▽≦)

”何しおらしいこといってんだ、バァカ” と後醍さんが(^^)

”獣人とか住む世界が違うとか、そんなもん関係ねぇ”

”俺を信じろ。幸が願うことは、俺が全部叶えてやる!” と。

 

そして2人は、

MGTとかなんもかも捨てて逃避行ー!(≧▽≦)ノ

”幸が今までできなかったこと、見れなかったもの、

俺が全部連れてってやる!

楽しいに決まってるから目一杯笑っとけ♪” と、

頼もしい後醍さんの言葉でハッピーエンディング!

 

後醍さんの過去や幸の生い立ちなど、

まだまだ細かい伏線が物語の背景に隠れていて、

なかなかよく出来たストーリーになっております。

けっこう読み応えありでした。

幸の耳としっぽは興奮しないと出てこないので、

終盤までは ”これ獣人BL?” と思うぐらい、ほぼ「人」でした(^^;

もう耳もしっぽも隠さなくて良くなった最後の方から、

ようやくケモ耳しっぽでえちえちする感じでした(^ω^)

 

おもしろかったです。

シリアスとコミカルのさじ加減がちょうど良くて、

いい感じの相乗効果が乗っていました。

チャラい後醍さんの、

時折見せる熱い眼差しとかカッコ良しでした。

獣人の幸はですね、

こんなこと言ったら身も蓋もないですが、

かわいいというか、なんかタヌキっぽかったです(^^;

 

後醍さんと幸の逃避行後も気になりますし、

オミさんとロウの関係性もなんだか含みを持たせる感じでしたし、

ストーリーが広がりそうな要素がいっぱいだったので、

いつか続編を期待したいなと思う作品です(^^)

 

 

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