しろくまBL部

腐女子のBL覚書

『新宿ラッキーホール1・2』(作者:雲田はるこ)

     

(1巻)
ゲイビデオに売られるため、仕込みヤクザ・サクマと同居し同性との
セッ〇スを覚えさせられた桧山苦味(ひやまくみ)。やがてポルノスターと
なった苦味はサクマをヤクザ生活から抜け出させたいと思うようになるが…。

(2巻)
苦味とサクマは数年後、ヤクザとは手を切りゲイビ制作会社を立ち上げ、
ポルノを作る裏方に。エロくてヤリたがりな苦味とそれをあしらいながらも
ドSに翻弄するサクマは公私にわたるアダルティックなパートナー。
しかし最近、断ち切ったはずのヤクザ関係者の影がチラつきーー?

 

2巻完結もの。たぶん。

1巻出版からなんと6年経っての続編2巻が出たようで、

もしやもしや、これで完結ではないかもしれんぞ(^^)

 

”苦い味で「苦味」。酷い名前だよね” (本人談)

主人公は元ポルノスターの苦味さん。

今は現役を引退し、制作側に回っています。

苦味さん、元々はノンケでした。

しかし高校生の頃、親の借金のカタにヤクザに売られ、

仕込まれてしまいました、お尻を。

苦味さんを仕込んだのはゲイのヤクザ・サクマさん。

組長から言われ、最初は嫌々仕方なくだったけれど、

いつしか2人は想い合うように。

この2人のままならない十数年のラブストーリーが

1・2巻でしっかりと描かれています。

 

「ゲイのヤクザ」

これ、わたしのキラーワードです。

このワード出されたらポチらずにはいられんよ(^^;

 

1巻前半は、短編3つ収録。

ゲイビ制作をする苦味さんの元に、3人の悩める男達がやってくる。

現役を引退した苦味さんですが、ヤリたがりな性格は健在なので、

一肌二肌ガンガン脱いで解決しちゃいます。

苦味さんの竹を割ったようなさっぱりした気性が、

なんともカッコ良くて男前で、読んでて気持ち良い♪(^^)

 

そして1巻後半~2巻が、

苦味さんとゲイのヤクザ・サクマさんとの本編。

お尻を仕込まれてからの腐れ縁である苦味さんとサクマさんは、

言葉がなくても離れていても別の男とヤってても、

絶対に切れない糸で繋がってるんです。

しかも、その糸はいつだってゆるゆるのタプンタプン(^^;

地面にズルズルと引きずられているんだけど、

今この時っ!てなると、

リールを巻き上げるみたいにピンっと張ってすぐ真横に居る。

 

ヤクザでゲイってのは出世も望めないし、

仲間内からもそんなに歓迎されないようです。

サクマさんも例外なくそうだったので、

苦味さんを引き取ってから組を足抜けしました。

しかし、簡単に抜けられるほどヤクザの世界も甘くないようで、

何かにつけて2人の背後には組の影がチラつきます。

2巻のラストはかなりサスペンスフルで、

断崖絶壁に追いやられる2人がまるで「火サス」かよ!と思うほど。

どうか死なないでね~とハラハラドキドキしました。

 

2人は危なくなる度にダラダラの糸を巻き上げて、

お互いの今居る場所を探し当て、無事であることを確認し、

ああ~良かったね~♪からの ”安心セッ〇ス” でイチャイチャするのです(^^)

 

全部読んで、

”あ~そういえばそうだな” という感じで気づくのですが、

苦味さんとサクマさん、かなりリバっています。

あまりに自然すぎて違和感がまったくないんですが、

けっこうリバっています。

自分、リバ全然イケる!と、この作品読んで思いました(^^)

 

ところで、わたしは漫画読むのは好きなんですが、

描くのはまーったくダメで、

美術の評価は10点中いつも2とか3とかでした(^^;

なので描く方の用語に疎くて、

作者さんのあとがきで頻繁に出てくる「ネーム」という言葉。

なんぞ?と、いつもふんわり流していました。

エロネタはすぐ調べる癖に、こういうことは後回し(笑)

作品全体をこんな風にします~と、

サササッとラフに描いたものを「ネーム」と言うんだそうですね。

この『新宿ラッキーホール2』のおまけに、

最終話のネームが載せてあるんですが、”うまっ!” の一言。

雑に描いているのでしょうけど、もうすでに上手いのだ…(^^;

いいよね、こんな風に自分の思い描く光景を描けるのは。

素晴らしいことです。