「私をSEXが出来る身体にしてください」
大学生の多田氷室は企業で長期研修生として勤める一方、
ゲイ向けのデリヘルでバイトをしている。ある夜ホテルで待っていたのは、
目隠しをした上司の九鬼だった。社内では優しく紳士と評判の九鬼が告げたのは、
淫らで切実な願い。自慰すらしたことがないという九鬼が震えながら自分の
言いなりに乱れる姿は、氷室の嗜虐心を煽った。決して目隠しを取らない九鬼は
酷く快楽を植え付ける男が氷室と知らないまま、不埒な逢瀬は続きーー。
「SM&緊縛週間」のラストを飾るのは『夜の落下』。
こちらは切ない系SMとでもいいましょうか。
切な苦しい系緊縛とでもいいましょうか。
敬虔なクリスチャンの義母の元で育った九鬼さんは、
普通の男の子なら通るであろう ”性春” の道を迂回して通過し、
社会人になった現在でも、
淫語はおろか、自慰行為も禁忌、ましてやセックスなんて以ての外。
一切合切の性的な事に厳格に育てられてきました。
しかし、ある事情から九鬼さんはデリヘルを頼みます。
そして、やって来たヒロという名の男性VIPキャストに言います。
”私をSEXが出来る身体にして下さい……” と。
まだ始まってもいないのに、
これから自分がされる事&する事が怖くてたまらない。
見るのも怖いから目隠しと手足を縛ってシてほしいと、ヒロに頼む九鬼さん。
自慰・オナニー・セックス・アナルなど、
淫語すら口ごもってまともに言えない九鬼さんに、
ヒロの「学習」という名のプレイが始まります。
まず、淫語に慣れること。
自分のチ〇コを触れるようになること。
自慰が出来るようになること。
そして、挿入できるようになること。
ヒロが用意した疑似性交用のダッチワイフを使って、
諸々のことを練習する九鬼さんの口から常に発せられる言葉は、
”ごめんなさいッ!” 義母を裏切っていることへの謝罪…(TT)
”必死に言いつけを守って、いい年してこのザマ…”
”欠けた大人になってしまった……” という九鬼さんに思わずキスをするヒロ。
義母の目を気にして性的なことを避けてきた男が、
急にSEXがしたいのはなぜ?出来ないと困るのはなぜ?
その答えを偶然見てしまったヒロ。
教会でピアノを弾く九鬼さんの側にいたのは義母が紹介した女性。
おそらくお付き合いからの結婚…であると容易に推測できました。
そして、プレイの日。
いきなり九鬼さんの目隠しをむしり取るヒロ。
”あんたの信じる神様が一回死んで生き返ったように、
あなたも死んだつもりになって今度は本物になって生きろ” と告げます。
プレイを重ねる中で、
いつの間にか九鬼さんに惹かれ、執着心を持ってしまっていたヒロ。
今日を最後に、九鬼さんと離れる決意をしたヒロでしたが、
”好きになりたくないと思っていた君を好きになってしまった…” と、
九鬼さんからの告白&初めてのキス。
彼と私はまだはじまったばかり。
人を好きにならなければ知る必要のない痛みをたくさん感じるだろう。
だけど、痛むと知っても進む。恋に落ちるーー。
素敵な最後でした。
すごく苦しくて切なくて痛々しかったですが、
それもひっくるめて全部良かったです。
お互いの心が透けて見えるような、とても良いSMでした。
いや~短いSM&緊縛週間でしたが、良いですねSM。奥が深い!
掘り下げれば、まだまだ色々たくさん出てきそうです。
またまた楽しみが増えました(^^)