しろくまBL部

腐女子のBL覚書

『あとは恋だけなんだって』(作者:カサイウカ)

   

高校時代からの親友で、同居中の殿田(とのだ)と八王子(はちおうじ)。
ある日、彼女から「親友とはどんなに仲良くてもセッ〇スできない」と
男同士の友情をバカにされ、それが原因で別れてしまう。その夜、泥酔
した殿田は「オナニーと変わんないなら、ヤってみる?」という八王子に
ノセられて、勢いでセッ〇スしてしまい…!?

 

実は最初、

絵がなんだかな~どうかな~と思って買い渋っていたんです。

言葉悪いですけど、なんかジジくさい絵柄だなと。(ひでぇ…^^;)

でも、それが大正解!

あとがきでカサイウカ先生が書いておられました。

おじBLが専門だと。若者を描こうと思うが、

最終的にどうしてもおじ系に走ってしまうんだと(笑)

うん、そりゃ渋いはずです(^^)

 

しかしね、中身はとてもおもしろいんですよ。

最初のつかみがまず秀逸。

殿田と八王子、それぞれ彼女がいるんですけど、

2人同時にフラれちゃうんです。

そのフラれた理由が ”お前ら仲が良すぎる” ってこと。

デートしてても親友が家で待ってっから帰るとか、

旅行中でも ”土産何がいい?” ってその親友と長電話するし。

そんなに親友が大事なら、

”そいつとセッ〇スしろっ!” って、ほっぺビンタでフラれた2人。

で、帰ってほんとにHしちゃうんです(^^)

だぶん俺らヤれるって(^^)

 

その背景にはちょっと切ない物語があるんです。

殿田と八王子は高校生の時に出会います。

性格も正反対で気も合いそうにないと思ったのに、

意外とウマが合って、気付けば一緒に暮らす現在。

そして今では1回ヤっちまった仲に(^^;

翌朝目覚めて後悔しまくる殿田に対し、

八王子はなんともさっぱりした様子。

 

殿田は ”どうしてお前はそんな飄々としてんだ!?” と聞くんです。

そしたら ”俺、男と寝たことあるから” とさらっと打ち明けた八王子。

えっ!?と思う殿田です。

高校の頃から何をするにもずーーっと一緒で、

俺とお前の間で知らないことなんて何一つ無いと思っていた殿田は、

”お互い秘密のひとつやふたつぐらいあるだろ?” と言ってのける八王子に

ショックを隠し切れなかったんです。

俺の知らない八王子がここにいる…と思って。

今までずっと近くにいると思っていたあいつが、

本当は全然遠いところにいるんじゃ…って思って。

その日から、仕事してても休憩してても気になることは、

”八王子は俺以外の誰と寝た?”

 

片や八王子は怯えていました。

殿田のことが高校の頃から好きだった八王子は、

「好き」が殿田にバレやしないかと。

バレてしまえば友達でさえもいられなくなる。

”もっと殿田に触れたいキスしたい” そう思うけれど、

だめだいけない、抑えるんだと言い聞かせる。

 

初めてギクシャクする殿田との関係に疲れた八王子は、

言い寄ってくる職場の上司にふらりとついていってしまいます。

楽になれるんじゃないかと。

車内で八王子がキスされそうになっているところへ、

助手席開けて横からグイッと奪いキスしにやって来た殿田参上。

”帰るぞ!” と一言。

 

目をウルウルさせて頬を赤らめながら、

”好きになってごめん” と謝りまくる八王子。

(このシーンにちょっとキュンとして涙出そうになりました)

”何で(好きだと)言ってくんなかったんだ” と。

”今更お前のこと嫌いになれるわけないだろ” と言う殿田。

 

9年間も親友やって来たから、

今はまだ「好き」って照れくさくて言えないけど、

僕らはいま「恋」をしている(#^^#)

 

同時収録で『これを恋と呼べるのか』というお話も入っています。

八王子に言い寄ってきていた上司・姫島さんのお話。

年下の態度悪い若造にいいようにされちゃう姫島さん(^^)

こちらはカサイウカ先生の好きなおじ様モノです。

 

この感想を書いていて、

殿田・八王子カップルのその後が描かれている短編の存在を発見しました。

『それは愛だけなんだって』というもの。

約1年後に知ったこの事実です(^^;

さっそくポチろうと思います。