しろくまBL部

腐女子のBL覚書

『チキンハートセレナーデ』(作者:大島かもめ)

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セフレとして気軽な付き合いをしていた倉橋駿斗(くらはしはやと)と
松根央倫(まつねひろみち)。ある日、倉橋が勤める呉服店にお得意様
と一緒に松根が訪ねてくる。普段、倉橋に見せる顔とは全く違う愛想
のいい松根をからかっていたが、お得意様が彼のお見合い相手だと知る。
その後も松根と関係を続ける倉橋だったけど…?

 

”愛されたいから、愛したい”

 

誰かに愛されたいと思うなら、

自分から本気で愛しにいかないと、

誰もあなたを見てくれないよ。

そう言われてる気がして、このセリフがとても心に響きました。

 

大人になればなるほど「好き」に憶病になりますよね。

リカバリーする力が衰えちゃってて、

デッカイ心の傷こさえちゃったら、

なんかもう立ち直れなくなりそうだから(^^;

 

それならば本気で人を好きになるのをやめよう。

上っ面だけ、おいしいとこだけいただこう♪

そう思って、

大人の関係=セフレに落ち着いているハヤトとヒロミチ。

知っているのはお互いの名前だけ。

顔も好みだし身体の相性も良い。

ということで、週二回の逢瀬を続ける2人。

 

ところが、

昼の世界で偶然にも顔を合わせることになってしまいました。

駿斗(ハヤト)が勤める呉服店に、

婚約者を連れてやって来た央倫(ヒロミチ)。

当然、お互い初対面のフリ……。

夜の顔しか知らなかった2人のひととなりが、

白日の下に晒されました。

 

2人とも心に傷を負っていて、

まさに「好き」に対してチキンハート(憶病)な人間でした。

駿斗は、兄ばかりを優先して可愛がる両親の元で育ったため、

ひとりぼっちになる恐怖、

誰かに捨てられる恐怖を抱くようになり、

人を愛することに憶病になってしまいました。

 

央倫は名家で育ったがゆえに、世間体のため、

家族からゲイであることを否定され矯正され、

挙句は結婚まで強要され、

人を愛することを諦めるようになってしまいました。

 

そんな2人が、

週二回の逢瀬で唯一心を癒し心を許し、

一緒にいることで心から楽しいと思える関係を築けたんです。

もうすでにセフレなんかではない、本気の恋がそこにありました。

 

このまま一直線にハピエンに向かって!と思うところですが、

2人はまだまだチキンハートで…。

央倫に捨てられることを怖がって逃げ腰になる駿斗と、

どうしても家族の呪縛から逃れられない央倫と。

なんとも切ない切ない臆病者の恋心よ…(T^T)

 

最終的には、

愛されたいからちゃんとお互いを愛する2人に落ち着きますが、

そこに行き着くまでの過程がね、とっても良いです。

2人の気持ちの葛藤が切なくて苦しくて胸キュンで。

大島かもめ先生が描く、

こういう心が締め付けられるようなシーンが大好きです。

身体は大人だけど、

心はなかなか大人の境地にたどり着けない。

そういう葛藤を描くのがとても上手な作家さんだなと思いました。

 

こちら、本編に続きまして、

『チキンハートセレナーデ another story』という

番外編も出ておりまして、2人の出会いが描かれています。

30ページのほどの短いお話なんですけど、

もれなく切ない胸キュンに襲われますので必読です!

 

本編・番外編共に大っっっ好きな作品です(≧▽≦)ノ

ほんと感想を書けて嬉しい♪

『逢縁カタルシス』に続いて、

2つ目の大島かもめ先生作品でしたが、非常にイイですね!

先生の作風、とても好きな感じです。

もっと色々読んでいきたいなと思います(^^)

 

最後にひとつ。

大島かもめ先生と波真田かもめ先生って同一人物!?

たま~にごっちゃになる時があります(^^;

 

 

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