しろくまBL部

腐女子のBL覚書

『恋の足音が聞こえる』(作者:野萩あき)

 恋の足音が聞こえる

サラリーマンの加藤義明(かとうよしあき)と岩田修(いわたおさむ)の
腐れ縁は高校の時から35歳になった今でもなくならず。そんな二人
は昔からやっていた流れで、定期的に会っては抜き合いをしていた。
お互い彼女がいた時期もあったり、お見合いをすすめられたりする
ものの結婚にはいたらず、この関係がまだまだ続くと思っていたが…。

 

表紙を見て「おじBL」かな?と思いました。

くたびれリーマンの義明と修は35歳なんですけど、

なんだか見た目以上に老けて見えて(^^;

40歳オーバーでも通用する感じ。

野萩あき先生は、

こういう老けキャラ…いや言葉悪いですね、

こういうダンディーな年配男性の描き方がとてもお上手。

いろんな経験をして今に至っているんだなというのが、

そのキャラの表情にちゃんと出てるんです。

いわゆる「哀愁」ってやつですね(^^)

 

仕事に人生にお疲れモードの脱力感、投げやり感、諦め感。

憂いを含んだ眼差し。哀愁漂うその背中。

はぁ~~~と深い深いため息をつく義明と修の表情には、

そんな持って行き場のない気持ちが浮かんでいます。

ただ、2人で飲んだり食べたり遊んだりしている時は、

高校からの腐れ縁のせいなのか、

唯一、自分が自分のままで、

ありのままでいられる素直な空間でした。

 

というのも2人の腐れ縁は一般的なそれとはちょっと違う。

高校の時から今現在でも続く「抜き合い」

腐れ縁で、なおかつチ〇コまで触り合う仲なんです(笑)

いろんなところさらけ出してるから、

お互いの前では何の気兼ねもいらないし、秘密も隠し事もない。

…と思っていたのは俺だけだったのか?と思う義明です。

(表紙のメガネの方が義明)

 

修のことはなんだって知ってると思ってたのに、

実は修は男が好きで、なんとこの俺=義明のことが好きだった!

なんですと!?

そんなこと全然知らんかったし、そんな気配もなかったじゃん!と、

衝撃と驚きと、知らぬは自分ばかりなり…にショックの義明です。

自分が見ていたのは、

修のほんの小さな側面だけだったのかもしれない…(-_-;)

 

お互い彼女がいた時期もあって、

ブルデートなんてしたこともあったけど、

いつも離れて行くのは彼女たちの方で、

変わらず、付かず離れずそばにいるのは、

お互いに義明であり修だった。

そうしていく中で、修の心の中で義明の存在が大きく膨らんで…。

だけど、義明がノンケなのは知っていたので、

友達としてずっとそばにいれたらと思っていた修なのです。

 

そして、

修の気持ちを知ってしまった義明の心中は穏やかでなく。

誰よりも長く一緒にいる修と今更離れることも考え難く。

でも、ギクシャクする今の状況も受け入れがたく。

なので、”よし!セッ〇スしよう!”

という結論に達しました(笑)

してみたら何か変わるかもしれないってことで。

 

で、どっちがネコなの?って話になって(^^;

初めての男でお尻はしんどいだろうということで、

ここはひとまず修がネコに。

ワァ~オ♪なエロい雰囲気はなく、

ちょっと恐々で探り探りな初Hでした。

 

さぁ~どうでしたか?と聞いてくる修に対して、

普通に勃ったし、思った以上に気持ち良かったし、

何より修にトキメキを感じた義明は、

この気持ち良さと居心地の良さは、

「=好き」に繋がるんじゃないかと思い始めます。

 

その後、ゆっくりじっくり身体を重ねた2人は、

最終的に腐れ縁から、

心も繋がった恋人同士へと変わりました(^^)

 

おじさまのしっとりとしたエロと胸キュンが詰まった作品でした。

お互いの距離感が居心地良くて、

一緒にいることがラクチンで、

この関係を壊したくないという思いが強すぎるがゆえに、

なかなか一歩を踏み出す勇気が出なくて。

そんな大人の男2人の、

恋に戸惑う心情がけっこう切なく胸にきました。

 

そして、もう一つの大事な大事なポイント。

最後「リバ」っております。

 

やられっぱなしの修で終わりではありませんでした(^^;

お前を感じたいってことで、

義明から挿れてほしいと言われた修は、

わっかりました!と本領発揮?(笑)

義明がネコで修がタチと、逆の形になっていましたが、

けっこう自然な流れのリバで、意外とあっさり受け入れられました。

なんとなくこの形が一番しっくりくるな~という感じでした(^^)

 

 

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